装者達のバレンタインデー(2021)
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「流星さん……はい、あーん」
箱に入れていたプラスチックのフォークを握り、調はチョコレートケーキを少し掬うと、それを流星の口へと差し出した。
「あー……ん……うん、やっぱり美味しいね」
その味は言わずもがなであり、流星は満足げな笑みを浮かべた。
「はい、またあーんしてあげます」
「いや、次は僕の番だよ」
自分のフォークを取り、掬った1口を調に差し出す。
「流星さん……それは反則……」
流星からの不意打ちに、頬を赤らめて俯く調。それを見て微笑む流星。
この後、追いかけっこから戻った飛鳥と切歌が来るまで、2人はケーキを交互に食べさせあうのだった。
ff
「津山さん、はいこれ」
「おっ、バレンタインか!ありがたく貰っとくぞ」
「お返し、期待してるからな〜?」
「ハハハ、あんまりハードル上げないでくれよ」
軽口を交わしながら、奏は職員らに義理チョコを配り歩いていく。
そんな奏を、コソコソと付けている男が1人……。
勿論、気付かない奏ではない。
だが奏は、分かった上で敢えて気付かないふりをしつつ、職員達や伴装者らへと義理チョコを渡していく。
そして、最後の一つを渡し終えた所で……奏は背後を振り返った。
「さて、あとはお前だけだぞ……紅介」
「ッ!?いっ、いつから……?」
「ん?最初っから気付いてたけど?」
「マジかッ!?チクショー、スニークスキル磨いとくんだった!」
相変わらずのテンションにクスッと笑い、奏は最後まで残していた包みを取り出す。
「お前には最後に渡すって決めてたんだよ。あたしを応援してくれるファンへの、ちょっとしたサプライズってわけだ」
「さっ、サプライズ!?」
「ああ。一番近くにいるファンなんだから、これくらいはしてあげないとね。というわけで、紅介、ハッピーバレンタイン♪」
ニカッと向けられるアネゴニックスマイル。
言うまでもなくハートを撃ち抜かれ、紅介は胸を抑える。
「くぅ〜〜〜〜ッ!ありがとうございますッ!棚に祀って家宝にしますッ!!」
「いや食えよ」
「頂いてしまってもよろしいので!?」
「おう。むしろ、目の前で感想言ってくれても良いんだぞ?」
「で、では……いただきます!!」
紅介は包みを開封し、中身を取り出す。
入っていたのは……なんと、チョコレートマドレーヌだった。
「あむ……むぐむぐ……ん、美味いっすよコレ!!」
「そりゃあ良かった。その顔が見れただけでも、作った甲斐はあったな……」
奏の作ったマドレーヌを、ゆっくりと味わうように咀嚼する紅介。
彼の笑顔を、奏は何も言わずに見つめる。
「ところで、どうして俺だけマドレーヌなんすか?」
「へっ?」
その疑
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