装者達のバレンタインデー(2021)
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星は、調の方を見て小さく頷き、調の手を取った。
「流星?」
「僕らはお先に。2人っきりで楽しんでくるよ。……兄さん、頑張ってね」
「切ちゃん、ファイト」
そう言って、流星は調と共に部屋へと戻って行った。
玄関前に残された飛鳥と切歌は、暫く見つめ合う。
先に口を開いたのは、飛鳥からだった。
「じゃあ……ここで開けようかな」
「美味しすぎて、腰抜かしても知らないデスよ〜?」
「それを言うなら頬っ辺が落ちる、だろ?」
「ど、どっちも似たようなもんデス!」
目を輝かせて胸を張る切歌に、飛鳥は箱のリボンを外す。
中には1口大の小さなチョコレートが、綺麗に並べられていた。
ハート型もあったが、飛鳥は一先ず星型のチョコを摘み口に入れる。
「どうデスか?」
「うん、美味いぞ。切歌が頑張ったのが、よく伝わってくる」
「えへへ〜……飛鳥さんに食べてもらうために、いっぱい練習したのデス!!」
撫でられて喜ぶ切歌に、飛鳥はチョコの一つを摘んで差し出す。
「なら、切歌も食べてみたらどうだ?」
「え!?良いんデスか?ありがとうデスッ!」
そう言って目を輝かせた切歌は……飛鳥の指につままれたチョコにそのままパクつき、その味を自賛した。
「ん〜♪やっぱりアタシにも、お菓子作りの才能があるデスッ!アタシの才能が恐ろしいデスよ〜」
(手に取ると思ったのに、まさかそのままパクッと行くなんて……な、何をドキドキしてるんだ僕はッ!?)
思わずドキッとしてしまった飛鳥は、切歌に内心の動揺を悟らせまいと、チョコをもう1つ摘んで口に運ぶ。
「……んんッ!?」
だが、舌の上でチョコが溶けた次の瞬間、チョコとは違う何かの感覚が口に残る。
「切歌……なんらか、ひたのうふぇがパチパチしゅるんらど……」
「あ、それは飛鳥さんを驚かせるために、1個だけ混ぜといた大盛りわたパチ入りデスッ!……あっ」
「き〜り〜か〜?」
「ちょ、ちょっとしたジョークなのデスよ〜〜〜ッ!」
「分量をふぁんがえろッ!!ふぉら待てッ!逃ふぇるなッ!!」
追いかける飛鳥の顔が笑っていた事を、一目散に逃げていく切歌は知らないのであった。
「兄さん達、上手くいくかなぁ」
「きっと上手くいきますよ。切ちゃん頑張ってたから」
「友達思いなんだね。調ちゃんは」
「流星さんはお兄さん思いなんですね」
「ここまでしたんだし、勝機は逃さないで欲しいな……。さて、もう開けてもいいかな」
「はい。あ、ミルクも入れますね」
蓋を取ると、中には透明な箱に入ったハート型のチョコレートケーキ。
流星は微笑むと、向かいに座る調の顔を見ながら感謝を伝える。
「うん、凄く美味しそうだ。ありがとう、調ちゃん」
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