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Fate/WizarDragonknight
奪い合う者たち
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ャンバスに、一点だけ黒があった。

「キャスター……?」

 その存在を認めると、思わずウィザードの口からその名が出た。
 銀の長い髪と、天使のように背中から生える四本の翼。だが、衣服も翼も漆黒に染まり、むしろ堕天使の印象を抱かせる。
 赤い瞳から、まるで涙のように頬を走る赤い模様。左腕に装備された黒い籠手。以前ウィザードと敵対もした、サーヴァント、キャスターに他ならなかった。
 キャスターは一瞬だけウィザードを捉えると、バングレイ……そして、その手元のベルセルクの剣を凝視し、告げた。

「その聖遺物(ロストロギア)はこの私が頂く」

 彼女の指は、明らかにベルセルクの剣に向けられている。目を白黒させるウィザードを置いて、バングレイはベルセルクの剣を見下ろした。

「ロストロギアぁ? こいつことか?」

 バングレイは指で見せつけるようにベルセルクの剣を見せる。キャスターはずっと黙り、ベルセルクの剣のみを睨んでいた。

「こいつを頂こうってか? ハッ! バリ笑える冗談だ。どこのどいつかは知らねえが、奪えるもんなら、力ずくで奪ってみろ!」
「……」

 キャスターは視線をバングレイに移動し、やがて彼に手を向けた。

「望み通りに」

 すると、彼女の手から、黒い光の柱が無数に発射された。

「面白え! ならこっちは!」

 バングレイはバックステップで黒い光線を避けながら、ウィザードに近づく。

「!」

 青い宇宙人は、ウィザードの剣薙ぎを回避し、右手をウィザードの頭に当てた。

「いい記憶だ。オラァ!」

 バングレイが腕を突き出すと、そこから光が放たれる。
 光は瞬時に人の形を成していく。

「ファントム?」

 そこにいたのは、青い牛の姿をした怪人だった。ファントムと呼ばれる、ウィザードが普段から戦っている敵。そのうち、最近ウィザードが倒した個体だった。

「やれ!」

 バングレイの指示で、ファントムはウィザードへ攻め立ててくる。
 ウィザードは慌てて応戦するが、その間、完全にバングレイとキャスターからは目を離してしまった。

「続いてコイツだ!」

 バングレイは、今度はキャスターに向けて手を放つ。新たな二体のファントム___猫のような茶色のファントム、ベルゼバブと、猟犬のファントム、ヘルハウンド。これもまた、以前ウィザードが倒したファントムたちである。

「やれ!」

 バングレイの命令に従い、二体のファントムがキャスターへ向かってジャンプする。
 だが、キャスターは眉一つ動かすことなく、左右から攻め入るファントムを眺めていた。静かに両手をファントムに当て、そこからの黒い光線により消滅させる。

『ディフェンド プリーズ』

 
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