奪い合う者たち
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ャンバスに、一点だけ黒があった。
「キャスター……?」
その存在を認めると、思わずウィザードの口からその名が出た。
銀の長い髪と、天使のように背中から生える四本の翼。だが、衣服も翼も漆黒に染まり、むしろ堕天使の印象を抱かせる。
赤い瞳から、まるで涙のように頬を走る赤い模様。左腕に装備された黒い籠手。以前ウィザードと敵対もした、サーヴァント、キャスターに他ならなかった。
キャスターは一瞬だけウィザードを捉えると、バングレイ……そして、その手元のベルセルクの剣を凝視し、告げた。
「その聖遺物はこの私が頂く」
彼女の指は、明らかにベルセルクの剣に向けられている。目を白黒させるウィザードを置いて、バングレイはベルセルクの剣を見下ろした。
「ロストロギアぁ? こいつことか?」
バングレイは指で見せつけるようにベルセルクの剣を見せる。キャスターはずっと黙り、ベルセルクの剣のみを睨んでいた。
「こいつを頂こうってか? ハッ! バリ笑える冗談だ。どこのどいつかは知らねえが、奪えるもんなら、力ずくで奪ってみろ!」
「……」
キャスターは視線をバングレイに移動し、やがて彼に手を向けた。
「望み通りに」
すると、彼女の手から、黒い光の柱が無数に発射された。
「面白え! ならこっちは!」
バングレイはバックステップで黒い光線を避けながら、ウィザードに近づく。
「!」
青い宇宙人は、ウィザードの剣薙ぎを回避し、右手をウィザードの頭に当てた。
「いい記憶だ。オラァ!」
バングレイが腕を突き出すと、そこから光が放たれる。
光は瞬時に人の形を成していく。
「ファントム?」
そこにいたのは、青い牛の姿をした怪人だった。ファントムと呼ばれる、ウィザードが普段から戦っている敵。そのうち、最近ウィザードが倒した個体だった。
「やれ!」
バングレイの指示で、ファントムはウィザードへ攻め立ててくる。
ウィザードは慌てて応戦するが、その間、完全にバングレイとキャスターからは目を離してしまった。
「続いてコイツだ!」
バングレイは、今度はキャスターに向けて手を放つ。新たな二体のファントム___猫のような茶色のファントム、ベルゼバブと、猟犬のファントム、ヘルハウンド。これもまた、以前ウィザードが倒したファントムたちである。
「やれ!」
バングレイの命令に従い、二体のファントムがキャスターへ向かってジャンプする。
だが、キャスターは眉一つ動かすことなく、左右から攻め入るファントムを眺めていた。静かに両手をファントムに当て、そこからの黒い光線により消滅させる。
『ディフェンド プリーズ』
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ