第六百一話 朝ご飯はその九
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「頭も切れるけれど」
「この二人それよりもでしょ」
「殴って撃ってね」
「そうして捜査しているから」
このスタイルは二十世紀から変わらない。
「だからね」
「素行が悪くてもだね」
「悪人じゃなかったらね」
この二人は少なくとも悪徳警官ではない。
「いいのよ」
「名探偵は」
「ドントコイ警部はどうだ」
テンボはドーバー警部をこう呼んだ。
「あの人は」
「確か最低の人だったね」
「性格はな」
「それで警察署の嫌われ者だね」
「あそこまで性格の悪い人はいない」
そうはという口調で言った。
「本当にな」
「そんな人だけれど」
「一応はだ」
事件を解決するという意味ではだ、ただしこの警部は自分で謎を解くということはしないというか捜査すらしない、部下任せだ。
「名探偵だからな」
「そうだよね」
「事件を解決しているからな」
本人にその意図はなくてもだ、何しろ捜査に行き詰まるとすぐに違法捜査や犯人のでっちあげを言い出す人物だ。
「それならな」
「あの人もだね」
「名探偵だ」
そう言っていいというのだ。
「事件を解決して真犯人を見出す」
「それがだね」
「名探偵だ」
「過程はどうでもいいんだ」
「勿論それも必要だ」
テンボはそれはと言った。
「しかしだ」
「それでもなんだ」
「一番大事なことはな」
名探偵にというのだ。
「やはりな」
「事件の解決であって」
「そして真犯人を見出すことだ」
「だからなんだ」
「あの人も名探偵になる」
「ドーバー警部もだね」
「そうなる」
尚この警部ははじめはロンドン市警にいたがこの時代では連合でもエウロパでも書く作者によって勤務先が違っている、ただし部下のマクレガー刑事は常に一緒だ。
「名探偵はだ」
「事件を解決することが絶対なんだ」
「逆に言うと解決出来ないとな」
「まあそれだとね」
トムはそのことはわかった。
「お話が終わらないね」
「そうだな」
「未解決のまま終わったら」
それならというのだ。
「もうな」
「それはそうだね」
トムは納得した声で頷いた。
「推理ものは終わりにならないよ」
「そう、事件を解決してこそね」
ジャッキーも言った。
「まさにね」
「推理ものはだね」
「成り立つのよ」
そうした作品ジャンルだというのだ。
「本当にね」
「そうだね、それで二人共」
トムは二人にあらためて言った。
「今お握り食べてるけれど」
「それがどうしたの?」
「サンドイッチもあるけれど」
他には饅頭や普通のパンもある。
「今日はそっちにしたんだ」
「ええ、丁度手元にあったし」
ジャッキーはトムのその問いにすぐに答えた。
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