第百二十四話 肥後の戦その十
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「そこから筑後に入り」
「肥後ですな」
「その攻め方もありますな」
「道としては」
「左様ですな」
「しかしな」
これはというのだ。890
「まず無理じゃ」
「筑後はまだ大友家が抑えています」
「その大友家と戦い当家に向かうとなると」
「まず大友家との激しい戦になる」
「そうなりますな」
「だからな」
それ故にというのだ。
「これはじゃ」
「それはないですな」
「当家との戦となりますと」
「それは大友家との戦」
「だからないですな」
「それに今の龍造寺家にとってはな」
今度は龍造寺家の側に立って話した。
「大友家よりもじゃ」
「有馬家ですな」
「龍造寺家に歯向かった」
「そうなりますな」
「そうなるからな」
それ故にというのだ。
「筑後には行かぬ」
「そのまま有馬家ですな」
「あの家を攻めますな」
「この度は」
「それが一番有り得る、だからな」
それ故にというのだ。
「これまで以上に肥前に密偵を送り」
「そしてですな」
「龍造寺家の動きを見る」
「そうしますな」
「そして軍勢を大々的に動かし」
そうしてというのだ。
「有馬殿を攻めるなら」
「その時は船を使い」
「そのうえで肥前に入り」
「有馬殿をお助けし龍造寺家と戦う」
「そうしますな」
「その様にする、肥後を手中に収めたからな」
このことを果たしたからというのだ。
「肥前までの道も楽になった」
「はい、肥後から攻められたりすることなくです」
「そのまま肥前に向かえます」
「途中肥後の港で休めますし」
「これは楽になりました」
「随分とな、ではまずは龍造寺家への密偵を増やす」
こう言って実際にだった。
義久は龍造寺家に向ける密偵を増やした、そのうえで彼等をよく見ると実際に彼等は動こうとしていた。
「そうか、やはりか」
「有馬家に対して恫喝を強め」
「出陣の用意も進めています」
「おそらく近いうちに大軍を動かします」
「それも龍造寺殿ご自身が出陣されるかと」
「主な家臣の方を全て率いられて」
「そうか、ではじゃ」
義久は薩摩に戻ってきて自分に影から話す密偵達に問うた。
「当家が動くことは察しておるか」
「いえ、有馬家を大軍で制圧しようと考えておられ」
「我等のことは考えておられませぬ」
「我等が来るとは思わず」
「あくまで、です」
「有馬家との戦とだけお考えです」
「そうか、ならそれは好都合」
義久は鋭い目で述べた。
「我等は密かにじゃ」
「はい、精兵を送りますな」
「船で」
「そうしますな」
共にいる弟達が言ってきた。
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