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麗しのヴァンパイア
第三百二十話

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               第三百二十話  博士の美学
 カーミラは使い魔達が入れてくれた赤ワインを飲みつつさらに話した、ワインは香りも楽しんでいる。
「あの人はならず者しか殺さないことがね」
「美学ですね」
「殺人については」
「そして生体実験についても」
「そうした輩のみですね」
「小悪党は嫌いなのよ」
 博士はというのだ。
「あの人はね」
「スケールの大きな方ですし」
「それ故にですね」
「その辺りのならず者の様な小悪党はお嫌いですね」
「それで殺すのですね」
「ええ、だから普通の一般市民はね」
 そうした者達はというのだ。
「絶対によ」
「殺さず」
「何もしないですね」
「普通に会話もしますね」
「そうよ、そして美学は他にもあるわ」
 博士についてはというのだ。
「ワインはグラスで飲むのよ」
「他のものでは飲まない」
「それも美学ですね」
「博士は」
「そうでしたね、確かに」
「あの人は」
「グラスの中で輝くワインを見ながら」 
 そのうえでというのだ。
「飲むことがね」
「美学ですね」
「あの人の」
「ワインの飲み方ですね」
「左様ですね」
「赤は肉料理やパスタの時で」 
 そうしたものを食べる時でというのだ。
「そして白ワインはね」
「魚介類等ですね」
「ああした時をお口にする時ですね」
「その時に飲みますね」
「その飲み分けもね」
 これもというのだ。
「あの人の美学よ」
「左様ですね」
「そうした美学がおありですね」
「あの人は」
「そこはいいところよ」
 カーミラは酒の友のクラッカーを口にしつつ言った、赤ワインとクラッカーはお互いを活かして実にいい味であった。


第三百二十話   完


                2020・11・29
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