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おぢばにおかえり
第六十二話 二人乗りその二十六

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「そうなるわ」
「そうですかね」
「絶対にね」
「そうなればいいですけれどね」
「いや、それはね」
 私が思うにです。
「先輩は凄く言い人だから」
「先輩いつもそう言われてますね」
「一年間ずっと一緒だったのよ」
 東寮においてです。
「残酷とか怖いとかね」
「全然なかったんですよね」
「凄く立派な人よ」
 人格者言っていい位です。
「本当にね」
「先輩から見るとですね、けれど僕が見る限りは」
「怖い人ね」
「とても残酷でしかも信心もない」
「信心ない筈ないでしょ」
 先輩は間違ってもそんな人ではありません、私が先輩みたいに信心している人になりたいとどれだけ思ったか。
「あの人が」
「けれど神殿の礼拝堂のところで」
「人を罵ったっていうのね」
「そんなことする人に信心あるとか」 
 それはというのです。
「僕思わないですから」
「そう言うのね」
「はい、どう見ても」 
 阿波野君が見る限りはというのです。
「信心もなくて」
「怖くて残酷な人ね」
「僕も残忍だから言いますよ」
 このことはわかります、阿波野君は嫌いな相手には本当に徹底していますので。そのことがやっとわかってきました。
「あの人残酷ですよ」
「だからなのね」
「お話したくないです」
 はっきりとした返事でした。
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