第七話 洋館の中でその十
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「また植物園の中を進んでね」
「そうしてだよね」
「皆の心も見ようかな」
「草木やお花の心をよね」
「それも見られるよね」
「うん、気付けばね」
それができるというのだ。植物にも心があるとわかればだ。
そして希望もだ。今はだった。
「そんな気がするからかも知れないけれど」
「それでも」
「そう。それでもね」
どうかというのだ。気のせいかも知れないとしてもだと。
「草木やお花の心を見たいからね」
「信じられない?希望も草木やお花の心がわかるようになれるって」
「ううん、人の心もわかりにくいから」
だからだとだ。希望はコーヒーカップ、白いそれを右手に持ちながらだ。
そのうえでだ。こう言ったのだった。
「だからね」
「それでなんだ」
「そう。だからね」
それでだというのだ。
「僕にわかるかなって思えるんだ」
「じゃあ千春のことわかる?」
希望が困った様な、そして戸惑う様なそうした複雑な微笑みを浮かべたのを見てだ。千春は自分のことを言ったのだった。彼女はどうかとだ。
「千春が今どう考えてるのかね」
「千春ちゃんが?」
「そう。千春は今何を考えてるかな」
微笑んでそのうえでだ。希望に問うたのである。
「今ね。何を考えてるのかね」
「そう。どう考えてるのかな」
「ううんと。楽しんでるかな」
千春のその顔を見ての言葉だった。
「千春ちゃんは今は」
「そうだよ。希望と一緒にいるからだよ」
「だからだよね。楽しんでるよね」
「うん、そうだよ」
その通りだとだ。千春は満面の笑みで希望に答える。
「千春とても楽しいから。だからね」
「僕も草木やお花のことを」
「そう、わかるんだよ」
その通りだと答える千春だった。そしてだ。
希望もだ。今わかったのだった。
「そうだね。僕も草木やお花の心がわかるんだね」
「千春がどう思ってるかわかるからね」
「僕もできるんだ」
少しだけ微笑んでだ。言う希望だった。
「そうしたことが」
「そうだよ。じゃあ今からね」
「うん、皆を見に行こう」
希望から言った。そのうえでだ。
二人はまた向日葵を見た。もう一度だ。
そしてそのうえでだ。希望は言うのだった。
「喜んでるね」
「それ、わかるよね」
「うん。今お水を貰ったばかりで」
それに加えてだった。
「お日様の光をいつも浴びられてね」
「皆お日様の光が大好きなんだよ」
千春はまただ。皆という表現を使ってみせた。彼女も含めてだというのだ。
「だからね。向日葵の皆もね」
「喜んでるんだね」
「向日葵は特になんだよ」
「お日様の光が」
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