episode12『銀色の鬼』
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言足りなかったり、ヘンな言葉になっちゃったりする事もあるけど……それでも、ヒナミのことも家族みたいに思ってるのは、本当だよ。
嫌だ、嫌だ、嫌だ。
どうしたらいいの、どうすれば助けられるの、どうしたら止められるの。
どうしたら、どうしたら、どうしたら――。
「たすけ、て」
――私を助けてくれる?シン。
――うん、勿論。約束だ、鬼は約束を守るからね。
「助けて」
――わたし、ともよの、シンの、みんなの家族になれる?
――勿論。
「……助けてよ、シン……!」
瞬間。
「……あ?」
「!?」
天井が、崩落した。
落下する無数の瓦礫の中に、鈍色の塊が混じる。一トンもありそうなそれは急速に広がると智代とヒナミの上に覆いかぶさるように落下し、莫大な衝撃音と共に地面にクレーターを作る。
ヒナミの体は勿論、智代の体も潰れてはいなかった。
「なに、これ」
――魔鉄だ。
流動するこれらの液体のようにも見えるこれらは、間違いなく魔鉄だ。ずる、ずる、と一部に収束してやがてヒトに近い形状を取り始めるそれは、しかしヒトにしてはあまりに歪な形状だった。
そして、その中枢。
僅かに見える古傷だらけの肌を、焦げ茶色の髪を、目を、知っている。
『ぼ、クの』
鬼だ。
鈍色のうごめく鎧を纏った怪物、無数の棘と一対の角を抱えた、巨躯の化け物。歪に世界を捻じ曲げた、夜に吠える災禍の獣。
『ぼくノ、かぞ、ク、に、ちかづク、な――――ッ!!!!』
罪に溺れた悪魔が、そこに居た。
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