名門の肩書きは面倒だ
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思えば昔から苦手だったかもしれない。
「いいのはあったか?」
私を白い目に映しているネジに聞いてみれば、戸惑ったように視線をさ迷わせた後、小さく頷かれた。
流石6歳。まだ反応が可愛い。あの一件でちょっとすれてるんだろうけど、あんな出来事があれば仕方ない。トラウマ――と一言では言い表せない幼児体験だ。
「これが…」
「あぁ。これか」
試しに色々なクナイやクナイもどきを作りまくったけど、それは私にはちょっと大きかったやつだ。確かに、これならネジの手にぴったりだろう。
けどこの一つのクナイで足りるわけがない。
ネジの手の平を確認して、実際クナイを握ってもらって幾つか作るかなぁ。
「手」
というわけで、手の平を見せてね。
些か言葉が足りないような気もするけど仕方ない。そういう設定をしちゃったからね。しかもその設定を押し通さないとボロが出る。
「…?」
案の定意味が分からないといった表情を浮かべるネジの手を勝手に掴み、手の平を確認してみる。子供の手じゃないよねぇ。
ふにふにと軟らかい子供の感触とは程遠いネジの手。コイツもかと思うけど、世界を考えてこんなものかと思い直す。ネジの場合は分家とはいえ日向だしね。名門の名はそれだけでプレッシャーもあるんだろうし。
「何をやっている?」
ネジの手の平を見つめたまま口を噤む私に、当たり前の疑問が届く。
「確認。クナイを握ってくれ」
「……」
疑問を浮かべながらも、ネジは私の言った通りクナイを見せるように握る。大きさは丁度いいか。成長期だからすぐに小さくはなるんだろうけど、自分だけの道具が欲しいっていう気持ちはよく分かる。
「何本欲しい?」
「作ってくれるのか?」
「あぁ。感想を教えてくれ。参考にする」
自分だけの感想じゃいまいち参考にならない部分もあるだろうから、ネジが使った感想を教えてくれるのはすごく助かる。
そう思っていたら、途端にネジの表情が歪んだ。
…ん? 今の会話の何処に琴線に触れる何かがあったのかな??
分からないからとりあえずネジの様子を伺うんだけど、ネジは手に持ったクナイを自分の手を傷めそうな程力を込めて握り締める。
「それは、俺が日向だからか?」
心の奥底から吐き出された言葉。
どうやら、私がネジに作ると言ったのは日向だから、と受け取ったらしい。
「日向――ね。木の葉の名門」
私の言葉に、微かに肩を揺れさすネジ。
「ソレが、俺に何の関係がある?」
気に食わなかったら関わらないし。
嫌なのに媚びへつらう真似なんかしたくないし。
私のものすっごく本音な言葉に、ネジは目を瞬く。うん。その表情はいいよ。年相応な感じがして可愛い。
「未熟な俺の試作品を試しに使ってもらう。
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