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ユア・ブラッド・マイン―鬼と煉獄のカタストロフ―
episode11『覚悟』
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失敗談なら、全国各地、日本に限らず海外に目を向けてもそれこそ腐るほどありふれた話ではある。だがその全てに、そんな大事に発展した例は存在しない。仮に存在したとしても、少なくともヒナミは聞いた事がない。

 契約に失敗すれば魔女側が大怪我を負う――なんてことがあってしまったら、一体今の時代を生きる製鉄師の内何割が残っていただろう。
 契約そのものには、人体を害するようなリスクはない。無い筈だったのだ。

 だがその話が本当なら、それはこの魔鉄歴までに築き上げられてきた常識の一片が砕け散るも同じこと。

「私、シン兄を助けてあげたい。たとえ大怪我しちゃうかもしれなくても、なんとかシン兄を歪む世界から解放してあげたい。でも、私はミナみたいにすごい魔女どころか、そもそも魔女ですらないから、シン兄を助けるための権利がそもそもない」

 魔女の体質は生まれつきだ。魔女として生まれてきたからには辞めるなんてことは出来ないし、魔女として生まれてこなかった者が後天的に魔女になる事も出来ない。
 どこかで読んだ本によれば昔にそういった研究が行われていたこともあったらしいが、結局世に出ていないという事はその研究が実を結ぶことはなかったのだろう。

「……つまり、マナは」

「……うん。ごめんね、こう言うと無理強いしてるみたいになっちゃう。でもそう、ミナにシン兄を助けてほしいっていう気持ちも、やっぱりどうしても消えない」

 思えば、マナはこうして遠慮なく言葉を交わせるようになるまでも、ずっとシンにくっついているような子だった。
 この施設に居る子たちは皆、何らかの理由で身寄りをなくした子供たち。ヒナミも、シンも、マナも、他の子どもたちも誰もが同じ。何も知らぬ内からここに来た子は別として、マナくらいの年頃なら本当の家族がいないという孤独は感じている筈だ。それは当然、ヒナミだって同じこと。

 そんな環境で出会った、血が繋がっていなくとも、信頼できる家族。彼女の気持ちは、ヒナミとて痛いほど理解できた。

「ミナ、私――。」




 不意に。

 ずんっ、と。
 施設全体を揺らすほどの強烈な衝撃が、走った。

「……っ!?」

「な、なに!?」

 地震かと思ったが、違う。揺れは継続的なものではなく断続的、外部から加えられた衝撃で、教会自体が揺れているのだ。
 それが何を意味するのか、分からなければまだ幸福だっただろうか。その是非は兎も角、ヒナミはすぐに気付いた。賢く在った故に、気付いてしまった。

 外部から加えられた衝撃。人力?まさか、人の力で半分は魔鉄製のこの教会を揺るがせるものか。
 重機?それこそあり得ない、旧建材の建物なら兎も角、魔鉄を建材に用いた建物を重機で取り壊すことは不可能だ。そもそも、この
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