第六十二話 二人乗りその二十四
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「何がいいのよ」
「そうでしょうか」
「そうよ、阿波野君だけが思うことよ」
「本当に小柄な人って人気がありますよ」
「背が高い方がいいに決まってるでしょ」
「それは先輩の先入観で」
あくまでこう言う阿波野君でした。
「僕としてはです」
「小さい人がいいの」
「そうした人がいることをお話させてもらいます」
「そうなのね」
「ですから」
私にさらに言ってきました。
「このままでいいですよ」
「そうかしら」
「背が低いことは気にされないで下さい」
「いつも小さいって言ってくるのに」
「それでこう言います」
「気にしないでって」
「そうです、悪いところないですから」
全くという言葉でした。
「いいわね」
「それじゃあ」
「それとです」
「それと?」
「先輩がもてないのは不思議ですね」
今度はこのお話をしてきました。
「絶対にもてると思いますけれど」
「子供の頃ブスって呼ばれても?」
「全然ブスじゃないですから」
「阿波野君しか言わないわよ、そんなこと」
「そうですか?」
「男の子ではね」
「じゃあ女の子では」
私に同性のことを聞いてきました。
「どうですか?」
「そりゃ言われたことあるわよ、現在形でね」
「やっぱりそうですよね」
「やっぱりかどうかはわからないけれど」
それでもです。
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