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おぢばにおかえり
第六十二話 二人乗りその二十三

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「何度か」
「そうでしょ、あまり高くてもね」
「それはそれで、ですか」
「困るでしょ、ただね」
 ここでまた私のことを思いました。
「私はもっと欲しいわ」
「あと五センチですか」
「それ位はね」
 本当にそれ位はです。
「欲しいけれどね」
「そうなんですね」
「小さいから」
 このことを自覚しているからです、誰よりも。
「本当に気にしてるの」
「それで僕が言うとですか」
「怒るのよ」
 最近そんなことを言う子は阿波野君だけです、ですから余計に困ってそれで阿波野君本人にも言うのです。
「だから言わないでね」
「可愛いのに」
「何が可愛いの?」
「小柄な人って」
 そうした人がというのです。
「いいでしょ」
「そうかしら」
「はい、小柄な女の人特に年上の人ですと」
「つまり私ね」
「そうした人って可愛いじゃないですか」
「そうは思わないわ」
 私本人としてはです。
「何でそう思えるのよ」
「僕としてはそうなんですけれど」
「わからない趣味ね、小さいとね」
「嫌ですか」
「本当にあと五センチは欲しかったから」
「もっと小柄でもよかったと思いますよ」
「全然よくないわよ」
 今一五〇です、これ以上小さいと本当にどうにもならないです。
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