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オズの木挽きの馬
第十二幕その六

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「あの者達がいてくれたので」
「秀頼さんも助かったんですね」
「そうなりました」
「そのこともよかったですね」
「歴史では右大臣様も父上もそれがしもあの戦で亡くなったことになってますが」
 それがというのです。
「実はです」
「何とかですね」
「あの者達が必死に働いてくれて」
「右大臣様をお助けして」
「今まさに陥ちようとしている大坂城から出て」
 脱出してというのです。
「薩摩まで逃れ」
「秀頼さんはそこで一生を過ごされたんですね」
「左様です」
「それで皆さんは」
「薩摩に逃れ落ち着いたら海に出て世界を旅しました」
 そうしたというのです。
「長い旅の後戻り後は静かに」
「過ごされましたか」
「父上も十勇士の者達も」
「そうだったんですね」
「そして今はです」
「こうしてオズの国におられるんですね」
「そうなのです」 
 大助さんは恵梨香に笑顔でお話しました。
「そして日々修行と学問に励んでおられます」
「幸せなんですね」
「これ以上はないまでに」
「それは何よりですね」
「大助様もお強いですぞ」
 忍犬が言ってきました、忍者屋敷の番をしていた時と同じく毅然としていて立派な物腰でお話をします。
「武芸十八般を備えられ」
「それでなのね」
「十勇士の方々と並ぶまでに」
「そんなにお強いんですか」
「左様です」
「それが凄いですね」
「まことに、それでなのですが」
 忍犬はこうも言いました。
「恵梨香殿は羊の肉も召し上がられていますね」
「ええ、美味しいわね」
「左様ですね」
「ラムもマトンもね」
「それは何より、ただ日本では」 
 恵梨香達のお国ではというのです。
「牛肉や豚肉と比べて」
「それでお魚ともね」
「どうしてもあまり食べないので」
 それでというのです。
「殿もあまり召し上がられないです」
「お肉は食べてもね」
「そうなのですが」
「オズの国ではよく食べるわ」 
 恵梨香は忍犬に答えました。
「私はね」
「そうですか」
「美味しくね」
「羊は見たこともありませんでした」
 大助さんはこう言いました。
「日本にいた時は」
「そうだったんですね」
「豚も薩摩ではじめて見て」
 そしてというのです。
「羊は日本では」
「昔の日本ではいなかったんですね」
「はい、いたかも知れませんが」
 それでもというのです。
「殆ど」
「そうでしたか」
「ですが食べてみますと」
 大助さんはマトンの焼いたものを食べながら言いました。
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