124 「次郎長」の内紛
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る場合なのか!?」
「う・・・、く・・・」
二人は石松の正論に何も言えなかった。
「内輪揉めを続けるのであるならば、お主らの石を没収するぞ!!」
「う・・・、わ、解ったよ・・・!!」
杉山は雷の石を捨てるように投げた。
「俺はこんなのなくても大将なんだ!!」
そう言って杉山は走り去った。
「す、杉山君・・・!!」
かよ子は追いかけようとした。
「待て、山田かよ子」
「え?」
「お主にも伝えておかねばならぬことがある」
「伝えておかなきゃいけない事って・・・?」
「フローレンスとイマヌエルからの手紙を読んで存じていると思うが、その杖は赤軍が政府によこせと命じておる。だが、二人はその対策として偽物を総理大臣とやらに寄こした。こちらの策が知れたら水の泡となる為、約束の日までにその杖の使用を控えてくれぬか」
「うん、解った・・・」
「大野けんいち」
石松は大野に顔を向ける。
「その草の石はどうする?大戦の時までに自分が持っているか、それとも内輪揉めを続けるつもりなら某に返すか?」
「いや、使わねえよ・・・。約束すらあ」
大野は俯いた。かよ子は杉山が捨てて行った雷の石を拾う。
「大野君」
かよ子は自分が好きな男子の親友に質問を試みる。
「何だよ?」
「この『雷の石』、大野君が持っていてよ」
「何でだよ!?アイツの石なんかを俺が持ってどうすんだよ!?お前は杉山が一人でも十分大将だって認めたのか?俺が石二つ持ってねえと弱いってのか!?」
「そうじゃないよ!私は杉山君の大野君のコンビが一番なんだよ!それに私は杉山君が好きだし、きっとあのセリフも本心で言ったんじゃないと思うんだ!私だって杉山君と大野君がいたからおっちょこちょいしても立ち直れたんだよ!この杖をお母さんから受け継いだ時、アレクサンドルとアンナを倒せたのも、オリガを倒せたのも、大雨や文化祭の時に赤軍が襲ってきた時に返り討ちにできたのも、二人がいたから頑張れたんだよ!私一人だけだったらおっちょこちょいで何もできなかったもん・・・」
かよ子は涙目になる。そして深呼吸して話を続ける。
「だから、その証として大野君が持っていて・・・。捨てたり、しないで・・・」
「わ、解ったよ・・・」
大野はひったくるように雷の石をかよ子の手から取り上げた。そして先に、教室に戻って行ってしまった。
「もう、朝の会の時間だ、戻らなきゃ・・・。あ、石松・・・」
かよ子は石松に顔を向ける。
「今行った事、絶対に守るよ。そして・・・、絶対におっちょこちょいしないよう気を付けるよ!」
「承知した」
かよ子達は戻る。一方、冬田はまだ泣いていた。
「冬田さん、まだ泣いてるの?」
たまえが聞く。
「だってえ、本当は私だってえ・・・。大野君がいなくなっちゃうと
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