第七話 洋館の中でその一
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第七話 洋館の中で
クレープ、それに紅茶を楽しんでから。それからだった。
千春は希望が食べ終えたのを見てからだ。こう彼に声をかけてきた。
「まだ。時間あるよね」
「うん、家に帰るにはね」
「じゃあお庭に出ない?」
「このお屋敷のお庭だよね」
「うん。そこに出よう」
こう希望に誘いをかけてきたのである。
「それでお花見よう」
「いいね。あのお庭だよね」
「そうだよ。お花にね」
「お花に?」
「木も一杯あるから」
だからだ。その庭に出てだというのだ。
「見よう。いいよね」
「食べて。それから」
「お花とかを見るのって凄く気持ちいいからね」
「そうだよね。それじゃあね」
希望もだ。千春の誘いに頷いた。そしてだった。
そのうえでだ。彼女に対して頷いてだ。
そのうえでだ。こう言ったのだった。
「一緒にね」
「うん。お庭に出よう」
こうしてだった。二人でだ。食べ終えて飲み終えたうえで庭に出たのだった。
庭は洋風の左右対称で木々も花達も多い。しかしだ。
どの木も花もそこにあるだけで手入れはされていない。ただそれでもありのままの美しさがあった。
足元には小さな草もある。しかしだった。
「あれっ、雑草ないよね」
「あの子達もいるよ」
「あの子達って?」
「雑草って草はないよ」
にこりと笑ってだ。雑草という草はないと言う千春だった。
「だって。皆一緒だから」
「ああ、そういえば」
「そういえばって?」
「確か昭和天皇だったかな」
あの方のお言葉をだ。希望はここで思い出したのだった。
そしてそのうえでだ。こう言うのだった。
「雑草という草はなかったって仰ってたね」
「そうだよ。雑草って言葉はないんだよ」
「どの草も木も生きているからだからかな」
「そう。そうした子達もちゃんといるよ」
「ううんと。このお庭にはいないだけかな」
「お庭のここにはいないの」
そうだとだ。千春は希望の横から話すのだった。
二人の前には手入れはされていないが自然のありのままの美しさを見せる草木にそれに花達がある。夏の様々な花達が咲き誇っている。見ればその下にだ。
確かに雑草と呼んでもいい草達もあった。しかしだった。
そこにあるものはよく見れば夏の草木や花達ばかりでだ。他の季節のものは。
「ええと。何か」
「ここは夏の子達が集ってるの」
「そうだよね。だからススキやセイタカアワダチソウがないんだね」
俗に他の季節では所謂雑草と思われるその草木達がない、希望はそのことに気付いたのだ。
「夏のものだけだね」
「今の時間だ
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