外典 【H×H編】その3
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いる。ただそれだけなのだ。
最強最悪の存在であるはずの蟻の王はただただテトラに蹂躙されるだけの存在に成り下がっていた。
油断なく全力で蟻の王に止めを刺そうとしたその一瞬前。
「コムギ、余はこれほどまでに弱い存在だったのか」
蟻の王の独白に止めを刺す寸前の所でテトラの攻撃が止まる。
「どうしたんじゃ」
仙人モードも解け、オーラを感じられるようになったテトラをネテロが訝しむ。
そのオーラは確かにそこいらのハンターとは隔す力強さを感じるが、ネテロにすれば圧倒的なまででは無い。
ネテロをもってしても対抗しうる程度だ。いやもしかしたらネテロの全力の方が上回っているかもしれない。
「…たった今、彼は人類に対する脅威では無くなった」
「それはどう言う…」
「誓約が作用しない。ブーストが効かない。もう人類に対する脅威じゃない」
テトラが超絶な程の地力を得ていたのは人類に対する脅威に相対してた故だ。でなければ普段のテトラの実力では蟻の王を圧倒出来はしない。
「余を殺さないのか」
「死にたいの?」
「いや…今はただ、無性にコムギに会いたい」
やる気の無くしたテトラと違いネテロの殺気が増大していく。
「庇い立てするか?」
「……?」
コテンと首を傾げるテトラ。
「帰る。わたしのやるべきことは終わった。わたしも早くネオンに会いたい。無性に会いたい」
そう言って踵を返すテトラ。
「余を害するつもりなら流石に抵抗するが?」
蟻の王はネテロを向いて言った。
その言葉に逡巡したネテロはしかし最後はその怒気を収めた。
「ワシじゃ敵わんのじゃし人類に対する脅威に変わるようならまたテトラが来るのじゃろうて」
テトラの事をそう言う存在だとネテロは認めたのだ。
「監視は付ける。人を喰わない、理由なく襲わないと約束するのならNGLでのみその存在を認めよう。蟻の王、メルエム」
蟻の王はネテロの言葉にはっと目を見開いた。
「そうか、余はメルエムと言う名なのか」
この後の結末にテトラは興味がない。
今はただ無性にネオンに会いたかった。
飛雷神の術でネオンの元に飛ぶと、いつもの様に我がままで尊大なネオンがテトラを迎えるのだろう。
そうした日常に帰れる事に安堵し、また感謝しながらテトラは生きる。
あの時、死ななくて良かったと胸を押さえながら今一度あの時得た奇跡に感謝した。
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