暁 〜小説投稿サイト〜
エターナルトラベラー
外典 【H×H編】
[2/14]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


「うっ…ふっ!?」

突然少女の体が熱を帯び始めた。

どこからか流れて来た温かな何かが彼女の体を包み込むと同時にわずかしか残されていなかった少女の命の灯火に燃料が足されたかのように勢いを取り戻し少女の体から湯気のような物が立ち昇った。

少女はそれをどうすれば良いのか分かった。先ほどまでの自分ならば絶対に分からないはずのそれを少女は何故か理解していた。

吹き出る湯気を体に留めると僅かばかり体が楽になったようだ。

更に漏れ出る湯気押し込めれば体力の回復も得られると知っているが、しかし一時的にもち直しただけの少女の体は今動かなければいずれ燃料切れで死んでしまうだろう。

少女は何とか背中をビルのコンクリートに押し当てると上半身を起こす。

「う…はぁ…はぁ…」

ポツリポツリと当たる雨粒はやはり冷たかったがそれで死ぬ事は無くなった。

少女は今度はしっかりとビルの隙間から大通を見据えると一呼吸。

盗んででも食べ物を摂らないと本当に死んでしまう。

「おや、あんた…使えるんだね」

見つめていた大通とは逆の方向、暗がりから年かさの女性だろうか、しわがれた声に少女は振りむいた。

使える…?ああ、念能力の事か。

今自分の周りに留め置いている生命エネルギー、オーラ。これを操る技術。

少女は理解した。

でも、何で知っているんだろう?

それと、わたしの中の温かいオーラはいったい…

それに触れようとするたびに知識が流れ込んでくるよう。

「汚い娘だ…だが、何かに使えるだろう」

「…う?」

老婆は少女に近寄ると少女の細い腕を掴んだ。

「骨と皮しかありはしないね」

老婆とは思えない力で引かれた少女は勢いそのままに立ち上がった。

クルリと踵を返す老婆を茫然と見送っていると振り返って口を開く。

「なにボサっとしている。食事と…その前にまずは風呂か」

着いて来いと言う事なのだろう。少女はようやくその足を動かして老婆を追った。

老婆はなにも親切心で少女を拾った訳では無い。

老婆の仕事は裏社会への人材斡旋であった。念能力が使えるのならば少女は老婆にとっては立派な商品たり得る。それ故に気まぐれに手を貸してやっただけだったが、少女が救われたと言う事実だけ見ればどちらでも良いのだろう。

「三回以上体を洗うんだよ、臭いったらありやしない」

老婆に服をひん剥かれた少女はブルリと震えている。

狭く、湿度の高い部屋だった。

風呂なんていつぶりだろうか。むしろ自分は眼前の蛇口やシャワーヘッド、バスタブなどを使った事があっただろうか?

シャンプーとボディソープの違いは?

ただ、使い方は何故か知っていた。

シャワ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ