第六十二話 二人乗りその二十二
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「それでもね」
「そうですか、けれど僕から見たら」
「気にすることないのね」
「僕も実はあと十センチ欲しかったです」
「あと十センチって」
一七七センチの阿波野君でプラス十センチはというと。
「一八七って。贅沢よ」
「贅沢ですか」
「そうよ、一七七で充分でしょ」
私が思うにはです。
「もうね」
「そう言いますけれど」
「もっと欲しかったの」
「そうなんですよ」
「あまり大きいとね」
私には絶対に実感の湧かないことですが言いました。
「頭ぶつけたりするから」
「よくないですか」
「船とかでもね」
船乗りの人から聞いたことです、神戸は港町なので船乗りの人も多いのでそうした人達からもお話を聞けるのです。
「あまり背が高いとね」
「頭ぶつけたりですか」
「するらしいから」
「そうなんですか」
「船の屋根は鉄で色々なものが出てるから」
パイプとかがあってです。
「ぶつけると痛いらしいわ」
「そうなんですか」
「だからね」
「あまり大きいとですか」
「損よ」
それはそれで、みたいです。
「そう聞いてるわ」
「そうですか」
「というか普通に狭い場所苦労するでしょ」
背が高いとです。
「阿波野君にしても」
「まあ頭ぶつけたことはあります」
やっぱりそうでした。
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