第十一幕その十二
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「あの人もね」
「そうなのね」
「何しろ二千六百年前ってオズの国もなかったんだよ」
「この大陸に国がなかったのね」
「一体どんな時代だったのか」
それこそというのです。
「わかっていないから」
「そうなの」
「というか二千六百年って」
それだけの歳月はといいますと。
「気が遠くなるよ」
「その間皇室はね」
「あったんだね」
「そう言われているわ」
「二千六百年、凄いね」
木挽きの馬は唸る様に言いました。
「つくづく」
「実はそんなにないって言われてもいるわ」
恵梨香はこのお話もしました。
「日本の皇室の歴史は」
「二千六百年もないんだ」
「ええ、ただね」
それでもとです、恵梨香はお話しました。
「少なくとも三世紀には皇室は存在していたから」
「じゃあ千八百年位かな」
「存在しているわ」
「それも凄いね」
「だから長い歴史を持っていることは事実よ」
「オズの国よりずっと長いことはだね」
「紛れもなくね」
こう木挽きの馬にお話しました。
「そうなのよ」
「成程ね」
「オズマがお会いしたいと考えているのは本当よ」
グリンダもお話しました。
「機会があればだけれど」
「そうなんですね」
「ドロシーと一緒にね」
「お会い出来たらいいですね」
恵梨香は心から思いました。
「天皇陛下と」
「そうよね、日本の皇帝陛下ね」
「そうですね、英語にしたらそうなりますから」
皇帝になるというのです。
「ですから」
「そうですね、では」
「機会があれば」
「その時はね」
まさにというのです。
「お会いしてね」
「オズマ姫が皇居に行かれるんですね」
「若しくは天皇陛下がオズの国に来られるのよ」
「そうなるんですね」
「ええ、その時が来たらいいわね」
「そうですね」
恵梨香はグリンダの言葉に心から頷きました、そのうえで皆と一緒に牧場にと戻っていきます。旅の終わりはもうすぐでした。
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