第二章
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「家に帰って親の手伝いをしてもいいだろ」
「親孝行ですか」
「お父さんお母さんを大切にしよう」
「徳を積めっていうんですね」
「そうだよ、親孝行もな」
これもとだ、辻は店の常連で親しくなっている彼等に話した。
「しろよ」
「それもそうですね」
「そういうこともたまにしないと駄目ですね」
「幾ら俺達でも」
「ああ、それにここ夜まで遊んでるとな」
そうしていると、というのだ。
「出るからな」
「出る?」
「出るって幽霊ですか?」
「それとも妖怪ですか?」
「妖怪だよ」
こちらが出るというのだ。
「そっちが出るからな」
「いや、妖怪が出るとか」
「田舎じゃないですよ」
「埼玉都会ですよ」
「奇麗な西武ドームもあるじゃないですか」
「西武はあっても出るものは出るんだよ」
それは関係ないというのだ。
「やっぱりな」
「妖怪はですか」
「それは出ますか」
「都会でも」
「こんな賑やかな街でも」
「そうだよ、俺も埼玉は都会だって思うけれどな」
埼玉県民として辻もこのことは同意だった。
「こんなに人が多くて色々なものがある田舎があるか」
「そうですよね」
「本当にふざけるなっていうんですよ」
「だ埼玉とか言う奴もいますし」
「く埼玉とか」
「そんなことないですよ」
「埼玉は都会です」
「本当にい」
「けれど都会でもな」
それでもというのだ。
「妖怪は出るからな」
「早く家に帰れ」
「そう言うんですね」
「それで親孝行しろっていうんですね」
「そうだ、たまにはそうしろ」
辻は高校生達にさらに言った。
「いいな」
「もうちょっといいですよね」
「お客さんの邪魔もしないですし」
「これでいいですよね」
「そうしても」
「本当に妖怪出ても知らないからな」
辻は今はあくまでだべろうとする彼等に言った、そしてだった。
店の中に仕事に戻る為に帰った、高校生はその彼を見送ってからお菓子もジュースも楽しんでだべり続けた、そうしている間に。
五時になった、すると。
一人がスマホで時間をチェックして五時を少し過ぎた時になったことを確認してそれで仲間達に話した。
「逢魔ヶ時だな」
「昼から夜になる時だよな」
「夕方だよな」
「何かが出る時だっていうな」
「妖怪とかがな」
「辻さんが妖怪出るって言ってたな」
彼の言葉がここで思い出された。
「そういえば」
「ああ、そうだったな」
「じゃあ今やばいな」
「さっさと帰った方がいいか?」
「帰って親孝行するか」
「たまにはな」
こうした話をしてだった、彼等は帰ろうとしたが。
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