第一章
[2]次話
本領発揮
大谷奈央はクラスでは目立たない、小柄で地味で大人しい。それでだ。
クラスメイト達も奈央についてこう言った。
「悪い娘じゃないけれど」
「目立たない?」
「これといって」
「特徴がないし」
「欠点も特にないけれど」
「長所もない?」
「所謂器用貧乏?」
それが奈央だというのだ。
「その実は」
「そうだよな」
「何かこれといってね」
「目立たなくて」
「特徴ないよね」
「これといって」
そうした娘だというのだ、だが。
小学校の時から一緒で彼女をよく知っている石田天はこう言った。はっきりした目で茶色のロングヘア、奇麗なピンクの唇で奇麗な眉、色白で背は一六五あり出ているところは出ているスタイルの彼女は言うのだった。
「そう思っていてもよ」
「違うんだな」
「そうなのね」
「その実は」
「あんな凄い娘いないから」
穏やかな目で黒髪をセミロングにしていて大人しそうな唇で一五〇程の背でスタイルは所謂幼児体型の彼女を見て言うのだった。
「本当に」
「そうなのね」
「凄いんだな」
「目立たない様で」
「それでいて」
「私いつも助けてもらっていて」
それでというのだ。
「本当にいざっていう時は」
「その力を出す」
「本領を発揮する」
「そのタイプなの」
「実際にそうでしょ」
天は真面目な顔で話した。
「あの娘いつも成績いいでしょ」
「そういえば」
「確かにな」
「大谷さん成績いいよな」
「いつも学園トップテンだし」
「しかもうち進学校だけれど」
県内の公立高校で御三家の一つと呼ばれる位だ。
「それでもな」
「そこでトップテンって」
「やっぱり凄いよな」
「そういえば何でもソツなくだし」
「じゃあその実は」
「凄いのは勉強だけじゃないから」
これに止まらないというのだ。
「スポーツでもいざって時はね」
「そっちもか」
「じゃあ具体的にな」
「その時見せてもらおうか」
「今度の運動会で」
「それなら」
「ええ、驚かないでね」
天はここでも本気の顔だった。
「どれだけ凄いかね」
「じゃあな」
「今度の運動会な」
「頑張ってもらうか」
「その時に」
クラスメイト達はこう言ってだった。
奈央にリレー、一番盛り上がるその競技のアンカーをお願いした。奈央は断らない性格だったので受けたが。
クラスメイト達はそれでも言った。
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