第六話 明らかな変化その七
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「またね」
「そうだね。いい休憩になったね」
「そうね。少しだけだけれどね」
「休憩したら。いや」
「いや?」
「この木見たら凄く楽になったよ」
木を見ただけでそうなったというのだ。
「気分的にね。何でかな」
そしてだ。怪訝な顔でこうも言ったのだった。
「何でこんなに。千春ちゃんを見た時と同じで」
気が楽になった。そしてだ。
それはどうしてなのかも考えてだ。希望は言葉としてその呟きを出したのだった。
「千春ちゃんが二人いるみたいな。そんな風に思えたのは」
「希望、じゃあ行こう」
「うん。今からね」
「頂上にね」
こうしてだ。二人でまた歩きはじめてだ。
その頂上を目指すのだった。そしてだ。
その頂上に着いた。そこからは。
神戸の街、それに海が見えた。ミニチュアを思わせる街並にだ。
青い海が広がっている。その先は蜃気楼の様に白くなっているがそこに四国の山々のシルエットが浮かんでいる。
空も見える。青い空は果てて白くなっている。それを見てだ。
希望はだ。自然と微笑みになり千春に言った。
「何度見てもね」
「ここの景色っていいよね」
「うん。とてもいいね」
こう言ったのだ。隣にいる千春に。
「幾ら見ても飽きないよ」
「神戸って全部が奇麗な街だよね」
「うん。海と山に挟まれて」
「自然も一杯あって」
「だからいいんだよね」
「ただ。街があるだけじゃないから」
そこに自然もある。海と山という二つの自然に囲まれているからだとだ。希望は言うのだった。
そしてその自然の中にある街にだ。あるものを見た。それは。
「見て。線路にね」
「電車が動いてるね」
「うん。あれは僕達が乗った電車だよ」
それだとだ。その青い点を見ながら話したのだ。
「八条鉄道のね」
「希望あの電車好きよね」
「大好きだよ。僕電車も好きなんだ」
「そうなの」
「マニアっていうのかな」
ここでは少し苦笑いになる希望だった。
「そう言うんだろうけれど」
「電車が好きなの」
「そう。電車も子供の頃からね」
「希望の好きなのは電車もなの」
「海も山も。電車もね」
そうしたものが全てだというのだ。
「大好きなんだ」
「じゃあ大人になったら電車に乗りたいの?」
「いいね。難しいけれど車掌になりたいね」
こうも言うのだった。
「できればね」
「じゃあ頑張ればね」
「車掌にもなれるんだね」
「うん、なれるよ」
そうなるというのだ。なろうと思えば。
「まずはなれるって思って」
「そうして頑張れば」
「そう。なれるよ」
「なれなくてもそうして
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