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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
魔法絶唱しないフォギア無印編
戦士達の休息
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マシンウィンガーで、他のメンツは慎次の運転する車で帰路につく。

 存分に遊び疲れたからか、学生組は翼を除いて全員車内で眠っている。響は未来、クリスは透と肩を寄せ合って寝ていた。
 その様子を翼は微笑ましく見ている。

 一方、マシンウィンガーで颯人にタンデムしている奏は、颯人の後ろから水平線に沈んでいく夕日を眺めていた。

「なぁ、颯人?」
「ん〜?」

 赤い夕日を見つめながら、奏は運転する颯人に声を掛ける。

「今日はさ、楽しかったな」
「そうだな」

 奏からの言葉に、颯人は運転しているからか簡潔に答える。その答えに奏は、更に強く彼の背に抱き着きながら言葉を続けた。

「次があったらさ、ふ……2人で来ないか? 別にこう言うところじゃなくて。普通のビーチにさ」

 今度はシンフォギア装者の奏としてではなく、ただの天羽 奏として颯人と海に行きたいと告げた。それを口にした奏の顔が赤いのは、きっと夕日に照らされた所為ではないだろう。
 対する颯人がどんな顔をしているか、奏から見ることは出来ない。だが奏には、何となくだが颯人も顔を赤くしているだろう事が手に取るように分かった。

「なら、ウィズかアルドに土下座でもする用意しとくかな」
「え?」
「必要だろ? 奏が変装しなくても済む様な魔法がさ」

 それは颯人なりの気遣いだろう。窮屈な変装も必要ない、ありのままの奏で楽しめる為の魔法の用意。その彼の気遣いが嬉しくて、奏は笑みを浮かべる。

 しかし――――――

「ううん、いらない」
「え?」
「いらないよ、そんなの。だって、颯人が助けてくれる。そうだろ?」

 きっと奏が迂闊に人の多い所に出れば、簡単に騒ぎになってしまうだろう。楽しむどころではなく、それどころか颯人と共に居るところがスキャンダルになるかもしれない。
 だが奏は信じていた。颯人だったらきっと、バレそうでバレないスリルある一時を過ごさせてくれると。奇跡の手品師の息子の実力で、奏を誰にも気付かせずに楽しませてくれると。

 その信頼を感じ取り、颯人は運転中であるにも拘らず笑いが抑えきれなかった。

「く、はっはっはっはっはっ! いいぜ、任せろ! 次来る時は俺が奏をエスコートしてやるよ」

 自信たっぷりの颯人に、奏は期待していると彼の背に身を委ねるのだった。
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