第一章
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寄り添い合う子供と犬
カイノア=コシュシェンコはアメリカ国籍だが今は両親と共に日本で暮らしている、黒髪が印象的な五歳の男の子だ。
その我が子を見て母のシャナは夫のヨシフに話した。
「自閉症の治療とヘルプにね」
「前に話していたよな」
黒髪をオールバックにした長身の彼はブロンドを短くしている妻に応えた、二人共目の色は青でありスラブ系の顔立ちだ。
「その為に」
「介護犬にね」
「来てもらうんだな」
「そうしたらあの子もね」
「ああ、自閉症でな」
「感覚過敏だけれど」
この二つの障害に苦しめられているがというのだ、両親も彼を育てることに苦労を感じている。自閉症だけでなく神経過敏であるので迂闊に触れないことにもだ。
「そこをね」
「助けてもらうか」
「ええ、犬にね」
「調べてみたがそれがいいな」
夫も頷いた。
「介護犬がいてくれるとな」
「障害を持っていてもね」
「助けてくれる」
「ええ、だからね」
それでというのだ。
「ここはね」
「その子に来てもらおう」
妻の言葉にまた頷いた、そうしてだった。
二人は家に一匹のゴールデンレッドリバーの雄犬を迎えた、名前はトルネードといい落ち着いた賢い犬だった。
両親はすぐに彼を息子に紹介したが。
「ワン」
「・・・・・・・・・」
塞ぎ込んでいる様なカイノアの傍に来た、触れないがそうした。そして。
いつも彼の傍にいる様になった。カイノアは何も喋らず動くことも稀だ。だが彼は次第にトルネードを観る様になり。
距離も縮めていった、ヨシフはその息子達を見てシャナに話した。
「少しずつでもな」
「ええ、カイノアがね」
「トルネードに近付いていってな」
「観る様になっているわね」
「そうなってきたな」
「ええ、けれどあの子誰かに触ることは」
妻は夫に話した。
「ないから」
「神経過敏だからな」
「お風呂に入ることも大変だから」
迂闊に触れると極端な反応をするからだ。
「だからね」
「それでだな」
「ええ、けれど徐々にでもね」
「自分の世話をしてくれるトルネードに目を向けてな」
「距離を近付けていっているから」
「いいな」
「それだけでも全く違うから」
カイノアにとってはというのだ。
「だからね」
「このままだな」
「トルネードと一緒にいてもらいましょう」
カイノアにはというのだ、そしてだった。
両親は我が子とトルネードを見守った、カイノアと彼の距離はさらに縮まっていき観ることも多くなった。そんな中で。
シャナはある日息子とトルネードがいる部屋に入った、すると。
カイノアはトルネードに寄り添って彼にもたれかかっていた、シャナはその光景を見て我が子に言った。
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