第二章
[8]前話
半分しか食べなかった、美穂はそれを見て父に言った。
「まさか」
「そのまさかみたいだな」
父は娘に答えた。
「いつも半分ずつ食べていたからな」
「だからなのね」
「器に入れたのは一人分でもな」
それでもというのだ。
「タロの分をな」
「残してるのね」
「お水もな、じゃあもう少し入れてやるか」
ご飯も水もというのだ、ご飯はドッグフードである。
「そうするか」
「ええ、食べる量も半分だとジロも困るし」
「そうしような」
こう話してだった。
父はご飯と水をさらにあげた、するとジロはその追加された分も半分残した。家族でその光景を見てタロが早く帰ってくればとも思った。そしてタロが家に帰って来ると。
「ワン!」
「ワンワン!」
二匹は喜んでじゃれ合った、そうしてだった。
ご飯と水は半分ずつ食べた、美穂は家に帰ってから両親にその話を聞いて言った。
「そうなのね、帰ってもなの」
「ああ、半分ずつ食べたぞ」
「そして飲んだのよ」
両親は娘に笑顔で話した。
「タロが帰ってからもな」
「そうしたのよ」
「そうなのね、犬に社会性があっても」
「ああ、どっちかがいなくなってもなんてな」
「凄いわね」
「そうよね、犬の絆も凄いのね」
娘はこのことを感じて言った。
「そうなのね」
「そうだな、人間と同じだな」
「むしろ人間以上かも知れないわね」
「犬同士の絆は凄い」
「決して馬鹿に出来ないわ」
「そうね、じゃあタロとシロはね」
食事を終えて落ち着いて横になっている二匹を見て話した。
「これからも一緒にいて」
「半分ずつ飲んで食べていくな」
「そうしていくわね」
「そうね、二匹はいつも一緒にいて」
そしてというのだ。
「半分ずつね」
「これからもな」
「そうしていくわね」
一家で二匹を見ながら話した、二匹は寝ている時も一緒だった。もうそれは何があろうとも離れないかの様であった。
同じ器で半分ずつ 完
2021・1・29
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