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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
793年12月号アライアンス・ポリティカ誌に掲載されたとある記事
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的連邦主義が広がったのもこの時期ですな。
オリベイラ氏
あの大侵攻で最も長く占領を受け、抵抗運動に従事したことで今では国内でも使われている【交戦星域】という概念が生まれたという点は注目するべきだ。
そして【大侵攻】から始まった変化が急速に進んだのがこの半世紀、特に30年前からだ。
イゼルローン要塞は明確に【交戦星域】の社会構造を急速に変えた。ティアマトやアスターテのように土地を失ったものだけではない。エルファシルやアルレスハイム、ヴァンフリートなど同盟政府、軍と連携した広域的な避難、復興など広汎的な互助体制の確立が進んでいる。
エプレボリ氏
【交戦星域】の構成邦で政体の変化が大きくなったのはこの時期でしてな、行政府への権力の集中が一気に進んだ点は注目に値するの。
例えば一般的に軍事独裁のイメージが強いヴァンフリート民主共和国においても同盟全体の経済成長が進んでいた時期は多党制は1世紀近くかけて根付いておった。じゃが今は再び人民元帥が行政を掌握し議会はその輔弼を行う形態へと回帰しておる。アスターテも船団に避難民を受け入れたことで船団・宇宙港を管理する公社の総裁と連邦元首の一体化が行われ元首への権限集約が集約されたの。
また同盟政府への集権的改革が一挙に進んだことで、その反動として分権的連邦主義が広がったのもこの時期ですな。
――つまりイゼルローン要塞が建造されたことに【交戦星域】と同盟政府の関係性も大いに変わったということでしょうか?
エプレボリ氏
帝国という明確な脅威によりヴァンフリートを除くほぼすべての構成邦が本土を占拠されたこと、そしてそれに強力な統制を受けながら抵抗をつづけたこと、この二点により、よくも悪くも同盟政府と対等であるという意識と同時に軍事政策、復興政策など同盟政府の意向に左右されやすい状況になった‥‥これが現在の同盟政府と交戦星域の関係を形作ったといえるの。
オリベイラ氏
この時期に共同体的ハイネセン主義が【交戦星域】を含めた戦災復興地域を席巻した。そのため、共同体的ハイネセン主義は親軍路線とも親和性が高い。これは地域的な必要と専制主義への断固たる抵抗という思考は個人主義的ハイネセン主義と同根であるからだ。
エプレボリ氏
同盟政府とのつながりが強くなったことで逆説的に同盟政府との距離が生まれたといえるの。同盟政府の介入が必要になればなるほどバーラト首都圏と【交戦星域】の格差は広まってゆく。その代わり中央へ人を送り込むことに強い関心を抱くようになる‥‥‥
この奇妙な関係が1世紀ほど緩やかに続き、そしてイゼルローン要塞の中で30年ほどで急速に固定化した。その結果が今出てきた、というところじゃの。
――固定化が続いた結果ということはどのようなことでしょうか
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