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麗しのヴァンパイア
第三百十六話

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                第三百十六話  博士が代わりに
 小田切君は博士に言った。
「そんな年代もの僕には使えないですよ」
「そうか」
「はい、絶対に国宝級ですよ」
 そこまでの茶器だというのだ。
「松永弾正のものでしかも戦国時代とか」
「ほんの四百年前じゃ」
「四百年も前ですよ」
 小田切君は博士に人間の時間の感覚から答えた。
「ですから」
「使えぬか」
「はい、ぽろっとでもしたら」
 落としたらというのだ。
「ちょっと」
「そうか、ならじゃ」
 博士は小田切君の話を受けてこう言った。
「茶道ロボットに煎れてもらうか」
「そうしたロボットもあるんですか」
「そうじゃ、紅茶も煎れてくれるしコーヒーもな」
 こういったものもというのだ。
「そうしてくれる」
「それは凄いですね」
「そのロボットに煎れてもらうか」
「そうされますか」
「小田切君の分もな」
 博士の分だけでなくというのだ。
「そうしよう」
「悪いですね、無理って言ったのに」
「よい、無理なことは頼まん」
「そうですか」
「わしはそんな高価なものとは思わんがな」
「充分過ぎる位ですから」
 小田切君は博士に真顔で答えた。
「僕には。若し壊したら」
「それならな」
「ああ、おいら達はお茶はいいぜ」
「お水でいいから」
 ライゾウとタロが言ってきた。
「遠慮するね」
「二人で飲んでくれよ」
「二匹共お茶やお酒を飲める様に身体を改造したが」
 喋られる様にするのと共にだ。
「そうしたがな」
「今はいいさ」
「二人で楽しんでね」
「それではな、小田切君はお菓子もな」
 こちらもというのだ。
「楽しむといい」
「それじゃあ」
「二人で楽しもう」 
 こう言ってだ、博士は千利休そっくりの外見のロボットを読んでお茶を煎れさせることにした、待つ間は小田切君と話した。


第三百十六話   完


                  2020・11・13
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