暁 〜小説投稿サイト〜
オズの木挽きの馬
第十一幕その六

[8]前話 [2]次話
「今は満ち足りている」
「そうですか、ただ幸村さんもう戦は」
「ないならそれでいい」
「そうですか」
「やはり泰平がな」
 これがというのです。
「何よりもいい」
「そうお考えですね」
「戦国の世はな、何といってもな」
 幸村さんは恵梨香にお話しました。
「戦が絶えなかった」
「だからですか」
「誰もが泰平を願っておった、功は欲しいが」
 それでもというのです。
「やはりな」
「戦がないことがですね」
「何よりだ、だからオズの国ではな」
「もうですか」
「戦がないのでな」
「幸村さんとしてもですか」
「よい、拙者も十勇士の者達も幸せじゃ」
 笑顔のままで、です。幸村さんはお話するのでした。
「やはりな、ただな」
「ただといいますと」
「最初にステーキを見た時は驚いた」
「ああ、牛肉は」
「ああした料理をするのはな」
 どうしてもというのです。
「見たことがなくてな」
「それで、ですね」
「拙者も驚いた」
「昔の日本ではお肉自体が」
「獣の肉は食することもあったが」
 それでもというのです。
「牛の肉を常に食し」
「ステーキみたいに焼くことはですね」
「なかった、まして牛乳を飲むなぞ」
 幸村さんはこちらのお話もしました。
「なかった」
「そうなんですね」
「蘇や酪、醍醐はあったが」
「ええと、確かどれも牛乳から作る」
「乳製品だな」
「それはあったんですね」
「あったが非常に贅沢な食べものであった」
 そうだったというのです。
「公卿の方や太閤様の様な」
「凄く身分の高い方でないとですか」
「食べられなかった、氷もだ」
 こちらもというのです。
「夏に普通に食するなぞ」
「ありませんでしたか」
「こちらも非常に贅沢なものだった」
 そうだったというのです。
「拙者は大名であったが」
「それでもですか」
「その様な贅沢はまずしなかった」
「そうでしたか」
「質素倹約を心掛けていた、真田家は小さな家だったしな」 
 大名といってもというのです。
「だからな」
「贅沢はされなかったんですね」
「それは武士のすべきことでないとも思ってな」
「父上は非常に質素な方でして」
 大助さんも言ってきました。
「修行と学問、お酒がお好きで」
「それ以外はですか」
「贅沢とは無縁でした」
 そうした人だったというのです。
「そして今もです」
「贅沢なことはですか」
「一切されません」
「そうですか」
「とはいっても今はステーキもかき氷もです」
 そうしたものもというのです。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ