第二章
[8]前話 [2]次話
「それでも引き取ってくれましたし」
「一目見て思うところがあったとのことで」
「そうしてくれましたけれど」
「住んでた部屋が急にペット不可になったとか」
「難儀な話ですが」
「戻って来ないだろうな」
ルイスはというのだ。
「このままな」
「この子を置いたままで」
「それで、ですね」
「そうしますね」
「そんな人も多いからな」
生きものを預けてまた引き取ると言ってそのまま戻って来ない人がというのだ。
「だからな」
「そうですよね」
「あの人にしても」
「戻って来るかというと」
「期待薄ですね」
多くの者が思った、そして。
タイタスの世話をまたした、ルイスは戻って来ないと思いながら。
だが暫くしてルイスは戻って来た、そして。
「もう少し待ってくれよ」
「ワン・・・・・・」
タイタスを強く抱き締めて彼に話した、タイタスも彼に抱かれ嬉しそうだった、そして彼を抱き締めた後で施設の人達に言った。
「家はです」
「探しておられますか」
「そうされていますか」
「見付かったら」
タイタスと共に住めるそこがというのだ。
「そうしたらです」
「タイタスをまた引き取って」
「そうしてですか」
「すぐにです」
まさに家が見付かって契約したその時点でというのだ。
「もう一度引き取りますから」
「だからですね」
「もう少しですね」
「ここで、ですね」
「お願いします、また来ます」
こう言ってタイタスを切実な顔で見て名残惜しそうに帰った、タイタスはその彼を悲しい顔で見送った。
その後でだ、施設の人達は話した。
「戻って来てくれるなんて」
「そしてまた来てくれるんですね」
「しかもお家を探してるなんて」
「このこと暮らせるお家を」
「だったら」
それならと言うのだった。
「あの人は絶対にお家を見付けて」
「それでまたこの子と暮らしてくれますね」
「そうしてくれますね」
「そうなるな」
間違いなくというのだ。
「あの人は」
「タイタスに対する愛情も感じますし」
「それもかなり強く」
「それならですね」
「必ずまた来てくれて」
「そうして」
「お家も」
見付けるとだ、彼等は思った。そうしてだった。
ルイスは何度も施設に来てタイタスと会った、その度に彼を強く抱き締め施設の人達にも家を探し続けると話した。そうした日々が続いたが。
ある日だ、ルイスは施設に来てそこの人達に笑顔で言った。
「やっとです」
「お家がですか」
「お家が見付かったんですね」
「そうですね」
「はい」
満面の笑顔で話した。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ