第五百九十九話 クールじゃないその一
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クールじゃない
ダンは教室の隅で一人飲んでいた、そこに洪童が来て言ってきた。
「何で一人なんだ?」
「何となくだ」
ダンは洪童に静かな口調で返した。
「こうして飲みたくてな」
「それでか」
「ここで飲んでいるんだ」
一人でというのだ。
「こうしてな」
「じゃあ俺がここにいたら駄目か?」
洪童はダンに笑って尋ねた。
「そうしたら」
「いや、別にな」
「いいか」
「何となくだったからな」
一人で飲みたかったというのだ。
「強く思っていない」
「だからいいか」
「ならこれからは二人で飲むか」
「ああ、それで飲んでる酒何だよ」
洪童はダンの左横に腰を下ろした、そうしてプラスチックのコップに自分の酒を入れながらそのうえでダンに問うた。
「俺は焼酎だけれどな」
「俺もそれだよ」
「焼酎か」
「芋焼酎だよ」
この酒だというのだ。
「サツマイモのな」
「それも一緒か」
「お前もか」
「ああ」
実際にというのだ。
「美味いよな、芋焼酎」
「そうだよな、他の酒も好きだけれどな」
ダンは洪童に顔を向けて微笑んで話した。
「この酒もな」
「好きなんだな」
「だからな」
それでというのだ。
「こうしてな」
「飲んでか」
「これも食ってな」
ダンは目の前に酒と一緒にあるつまみも見た、そのつまみはピーナッツだった。それを齧りつつ洪童に話した。
「飲んでるんだよ」
「ピーナッツか」
「お前は何で飲んでるんだ」
「これだよ」
洪童は笑ってサラミを出した。
「これの上にお塩をどっさりと乗せてな」
「そうしてか」
「レモンの汁をかけて食うんだよ」
「塩をどっさりか」
「それで飲むとな」
これがというのだ。
「滅茶苦茶酒が進むんだよ」
「そうか」
「塩分摂り過ぎで身体には悪いんだよな」
洪童は笑ってこうも言った。
「これが」
「確かにな」
ダンもこう言った。
「俺が聞いてもだ」
「身体に悪いな」
「そんな食い方だな」
「だからお勧めはしないぜ」
洪童はそのサラミの上に塩を山盛りに乗せつつ言った。
「この食い方はな」
「実際に今からするんだな」
「こうしてな、それでな」
「レモンだな」
「こうするんだよ」
塩の真ん中にレモンの絞った汁をかけた、そのうえでの言葉だ。スライスされたサラミが皿に見える。
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