第二章
[8]前話
「そうしてね」
「うん、あとね」
「あと?」
「これから毎日スーラと一緒に寝ていい?」
母にこうも言った。
「そうしていい?」
「ええ、わかったわ」
そのことについても頷いた、そして。
娘にクレヨンを渡すとすぐにだった。
今は寝ているスーラを見ながら描きだした、そして彼女の絵を描き終えると。
他の絵も描きだした、アイリスはそれから毎日いつも絵を描く様になりスーラ以外にも色々な生きるものや人、ものを描く様になった。
そうして自然と口数も増えた、それで医師も言った。
「いや、まさかです」
「ここまで、ですね」
「アイリスがよくなるとは思いませんでしたね」
「スーラが来てくれてから」
「ここまでよくなるなんて」
「はい、アニマルヒーリング以上にです」
医師の予想以上にというのだ。
「遥かにです」
「効果があった」
「そうですか」
「ええ、スーラはアイリスちゃんの友達で家族で」
そしてというのだ。
「掛け替えのない存在になってくれて」
「それで、ですか」
「アイリスを救ってくれたんですね」
「救ってくれています」
今もというのだ。
「そうしてくれています」
「そうですか」
「あの娘はそうしてくれていますか」
「はい、そして」
医師はさらに話した。
「これからもです」
「アイリスの傍にいてくれて」
「救ってくれますか」
「必ず」
そうしてくれるというのだ。
「ですから何があってもです」
「アイリスとスーラは一緒にですね」
「いるべきですね」
「あの娘達には絆が出来ました」
何よりも固いそれがというのだ。
「ですから」
「はい、これからもスーラはアイリスと一緒です」
「そうなる様にしていきます」
両親も約束した。
「アイリスを救ってくれましたから」
「あの娘達をずっと一緒にいられる様にします」
「その様にお願いします」
医師もこう言った、そしてだった。
アイリスはスーラといつも一緒にいる様になった、するとだった。
彼女は日に日によくなった、そうしてスーラとさらに仲良くなり。
今もスーラを描いていた、そうして両親に話した。
「これからもずっとね」
「スーラと一緒にいてだな」
「スーラの絵を描くのね」
「うん、そうするわ」
こう答えてクレヨンを動かし続ける。
「将来絵の具を使う様になっても」
「そうか、頑張れよ」
「そうしていってね」
両親はそんな娘を見て優しい笑顔になった。それはアイリスも同じでスーラもだった。誰もが優しい笑顔を浮かべその中にあった。
自閉症を癒してくれる猫 完
2021・1・27
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