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戦国異伝供書
第百二十二話 大友家動くその九

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「まさにな」
「天下の殆どを制せられましたな」
「そうなられた、それはじゃ」 
「政によってですか」
「道を整え大軍が素早く動ける様になり」
 そしてというのだ。
「要所要所に城を築かれ」
「そしてですな」
「休める様にし」
「兵糧や武具を置かれましたな」
「そのうえ商人達にも話をされてな」 
 そうしてというのだ。
「進む先に武具等を用意され」
「戦場の近くで武具を身に着けれられる」
「それまでは気楽に動ける様にしている」
「武具は別に運んで」
「その様にされたことも見事じゃ」
 信長、彼はというのだ。
「そしてわしもじゃ」
「その織田殿を手本にされて」
「そうして政をされていますか」
「戦に対しても」
「そうじゃ、その政はな」
 まさにというのだ。
「天下人の政、わしは天下なぞ望まぬが」
「それでもですな」
「手本とすべきところはされる」
「そういうことですな」
「そうじゃ、しかし織田殿の領内の関所の廃止と楽市楽座はな」
 この二つについてもだ、義久は話した。彼は信長の政のそうしたところも見てそうして己の政を考えているのだ。
「驚くべきであるな」
「いや、関所は銭を取ってです」
「その銭が大きいですが」
「家のかなりの益になります」
「それをあえてされずな」 
 そしてというのだ。
「人の行き来を多くされ」
「そして自由に商いをさせ」
「そうして街を栄えさせる」
「そうした政ですな」
「それもかなりな」 
 まさにというのだ。
「凄いことじゃ、しかも近頃検地をされ」
「刀狩りもですな」
「それもされていますな」
「領内で」
「そうして天下の政を行われておる」  
 信長、彼はというのだ。
「それを見ておるとな」
「実にですな」
「織田殿は見事ですな」
「その政が」
「そうじゃ」
 こう弟達に話した。
「織田殿はな、やがて天下を治める仕組みも整えられるだろう」
「幕府ですか」
「それを開かれますか」
「そうされますか」
「やがてはな、源氏と名乗られれば」
 それでというのだ。
「何とでもなるしな」
「それはそうですな」
「まあ源氏と名乗られれば」
「それが通りますな」
「織田家は本来平家じゃ」
 この家だというのだ。
「実はな、しかしな」
「そこはですな」
「天下人になられることを考えると」
「何とでも言えますな」
「その辺りは融通が利く」
 日本においてはだ。
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