第一章
[2]次話
散歩は絶対に
国崎文太はこの日朝早くに起きた、同じ部屋に寝ていた妻の由里子も目覚ましにより起きた。彼は共に起きた妻に言った。
「今からな」
「ふわりのお散歩ね」
「そうだ、これから毎朝こうしてな」
布団から出ながら言う。
「早く起きてな」
「それでお仕事の前になのね」
「ふわりの散歩に行くぞ」
「そうするのね」
「ああ、ただ夕方はな」
夫はこの時のことも話した、二人共ジャージで寝ているので起きればもうすぐに動けた。着替える必要がないので。
「俺は仕事だからな」
「パートから帰った私がね」
「ああ、三時には終わるんだったな」
「四時よ、五時にはお買いものもしてうちに帰るわ」
「だったらな」
「帰ったらすぐによね」
「ああ、散歩に行ってくれ」
ふわりのそれにというのだ。
「いいな」
「一日二回ね」
「そうしような」
「そうね、朝と夕方ね」
妻も夫の言葉に頷いて応えた。
「行かないとね」
「駄目だろ」
「ワンちゃんにはね」
「運動になってな」
「運動不足を解消して」
「ストレス発散にもなるんだ」
「そうよね」
夫の言葉にまた頷いて応えた。
「そう言われているわね」
「それに家族とのスキンシップだしな」
「室内飼いでもお散歩は絶対ね」
「犬にはな」
「そう考えたら」
まだ暗い中で妻は言った、まだ四時半だ。
「あの人達は」
「どれだけ生きものを飼う資格がないかわかるな」
「お腹が大きくなってもね」
「それなら旦那が行け」
「そうよね」
「そして子供が出来たら見向きもしなくなってな」
そうなってというのだ。
「一日中ケージに入れてだ」
「お散歩も連れて行かないのは」
「問題外だ、そのふわりを入れてたケージ見ていたら怒りが爆発してな」
「二人にもぶつけたのよね」
その怒りをというのだ。
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