第四章
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「何があってもな」
「ずっとか」
「ふわりと一緒にいて」
そしてというのだ。
「暮らすぞ」
「散歩に連れて行ってか」
「無視もしないでな」
「やっていくな」
「わかったよ」
息子は父の言葉に頷いた。
「それじゃあな」
「ああ、そういうことでな」
「けれど朝から晩まで吠えるなんて」
母は言った。
「少し考えてみればね」
「わかるな」
「ええ、無視したらね」
「そりゃ呼ぶな」
「自分はここにってね」
「それまで吠える娘じゃなかったからな」
「余計にね」
こう夫に話した。
「そうなるわ」
「そうだな」
「考えなくてもわかることね」
「だからおもちゃだったんだよ」
二人にとってふわりはというのだ。
「犬の気持ちとか買い方とか習性とかな」
「考えもしなかったのね」
「ペットショップで飼い方の説明を聞いてもな」
それでもというのだ。
「うわのそらでな」
「それで考えもしないで捨てたのね」
「絶対にな」
「つくづく最低ね」
「可愛いから一目惚れしたって買ってな」
そうしてというのだ。
「散々遊んでな」
「自分達の赤ちゃんっていう別のおもちゃが手に入ったら見向きもしなくなって」
「ぽいだ」
「そんなことは絶対にしてはいけないわね」
「人間ならな、だから俺達は何があってもしないぞ」
文太は強い声で言った、そうしてふわりにご飯を水をあげた。ふわりはまだ塞ぎ込んだままで動くこともしない。だが彼も彼の家族もこれ以上はないまでに誓っていた。ふわりを本物の家族として迎え入れて共に暮らすと。
犬はおもちゃじゃない 完
2021・1・26
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