四十四 視界不良戦線
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霧が深い。
換金所の前は殺伐とした空気と緊張と、そして濃霧が漂っていた。
息をするのもできないほどの圧迫感が満ちている。
ゴクリと生唾を呑み込んだのは誰だったか。
「桃地…再不斬…」
霧隠れの鬼人と謳われた『元・霧の忍刀七人衆』のひとり。
その手にある首切り包丁がなによりの証拠だ。
以前、木ノ葉崩しの直後に木ノ葉の里に侵入してきた『暁』のことを思い出して、アスマは肩で息をしながら再不斬の背中を見た。
うちはイタチと干柿鬼鮫。
そのうちの怪人と謳われる鬼鮫と一戦を繰り広げた再不斬が、今また木ノ葉に再来している。
敵か、味方か。
それを判じかねているアスマ達をよそに、乱入者である再不斬を角都は歓迎していた。
「これでしばらくは懐があたたかくなるな」
既に殺して換金したつもりになっている角都に、再不斬は呆れ顔で首切り包丁を肩に担いだ。
「だから金にはなんねぇぞ。俺はもう売約済だって言っただろーが」
「そうか。ならば貴様を買っている奴ごと換金するとするか。貴様ほどの奴を買うのなら、そいつも金になるだろう」
角都の返答に、一瞬、再不斬は眼を瞬かせ、やがて「ハッ」と鼻で嗤った。
「そりゃ無理な話だ」
自分と賭けをしているナルトごと換金すると言っているも同然の角都に、再不斬は失笑した。
それを挑発と見て取ったのか、角都が戦闘態勢を取る。
先ほどまでの傍観の態度を変えた角都を見て、飛段は「あ────っ」と非難の声を上げた。
「ずっるいぞ、角都!!手ぇ出すな、って言ったろ!?」
「お前はその守護忍十二士のほうをやれ。コイツは俺の獲物だ」
再不斬目掛けて地を蹴った相方に、飛段は唇を尖らせる。
「俺だってそっちのほうが殺し甲斐がありそーなのによぉ」とブツブツ文句を言う飛段の隙を狙って、シカマルは印を結んだ。【影真似の術】で動きを封じる。
チッ、と舌打ちした飛段が動かなくなったのを視界の端で捉えて、再不斬は「おい」とシカマルを肩越しに呼んだ。
「影使いの小僧。そのまま、ソイツを離すんじゃねぇぞ」
「……っ、言われなくとも!!」
漂う濃霧の中の怒鳴り声に、シカマルもまた、顔を顰めながらも怒鳴り返す。
その返答が気に入ったのか、へっと口角を吊り上げて笑った再不斬はすかさず印を結んだ。
「【水遁・大瀑布の術】!!」
再不斬の周囲に描かれた水円。その円から多量の水が打ち上げられ、一気に落とされる。
水災害に遭ったかのような膨大な水が降り注ぎ、大津波が押し寄せてきたかのように周囲がたちまち一面の水に覆われた。
「い、いきなり大技かよ…!!」
波に圧
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