最終章:無限の可能性
第276話「水面に舞う緋き月・後」
[8/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。
回避も防御魔法も可能だったが、緋雪はそれを両腕で受け止めた。
「ッ!」
その触手を切り落とし、追撃を再度転移で躱す。
攻撃はすぐに追いついてくるも、徐々に肉薄していた。
「くっ……!」
神も転移を使い、何度も緋雪から距離を取ろうとする。
緋雪も負けじと転移で追いつき、その応酬を繰り返す。
「掛かった!!」
「縺ェ縺ォ縺」!?」
だが、それも終わる。
緋雪が仕掛けたバインドによって、一瞬とはいえ動きが止まった。
そして、今の緋雪にはその一瞬で十分だった。
「これが私の軌跡!私の物語!全てを以って、全てを斬り裂け!!」
緋雪の言葉と共に、結界が崩れていく。
否、結界内の全てが緋雪とシャルに集束していく。
結界がなくなり、外でずっと戦っていた緋雪の分身と“天使”達も現れる。
どうやら、分身達が敗北する寸前だったようだ。
それを見て、緋雪は一瞬安堵するが、即座に意識を戻す。
「“水面に舞え、緋色月”!!」
自らの全てを込め、剣として緋雪はそれを振り下ろした。
その輝きは、白い神界をさらに白く染め上げる程だった。
「縺―――――」
「“領域”、両断……!!」
正しく極光の剣が、神を一刀両断にした。
緋雪の全て、全身全霊が込められている一撃だ。
それは即ち、緋雪の全ての“意志”が籠められている、
故に、“狂気の性質”の神の“領域”は、その一撃によって両断された。
「ァァああああアア!!」
「ガァアアアアッ!!」
「………」
残った“天使”が、死に物狂いで緋雪へ襲い掛かる。
全身全霊の一撃を放った後のため、確かに緋雪は無防備だった。
だが、その攻撃が届く事はない。
「一歩、遅かったね」
主たる神の“領域”を破壊した。
ならば、その眷属の“天使”に生きる術はなし。
緋雪に届くその直前で、“天使”達は消え去った。
「……危なかった……」
本音が漏れる。
正しく紙一重の戦いだった。
あの土壇場で、緋雪が新たな手札を思いつかなければ負けていただろう。
「司さんや奏ちゃんなら、もっと勝ちを確信してたんだろうなぁ……」
緋雪は自分の読みの甘さに苦笑いしていた。
油断しているつもりはなかったが、僅かな慢心でピンチになったのだから。
「……でも、だからこそ……」
しかし、そのおかげで“負けられない”と言う強い“意志”を抱けた。
神を倒せる程の“意志”を、発揮する事が出来たのだ。
「……お兄ちゃんを助けに行かないと」
〈お嬢様〉
緋雪はそう言って立ち上
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ