暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
最終章:無限の可能性
第276話「水面に舞う緋き月・後」
[5/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

 普段であれば、感傷に浸る程度の効果しかない。

「ッッ……!!」

 だが、“狂気”に呑まれた今ならば、()()()()()()()が発揮される。
 緋雪は、拳を自らの額に殴りつけた。

「っ、ふぅ……ッ……!」

 ギリギリ、正気を取り戻す。
 自分にとって大事なモノを想起する事で自我を取り戻す。
 そんな間接的に作用させる術式だったが、ものの見事に成功した。
 しかし、それを喜ぶ時間はない。

「(このままやれば、また“狂気”に呑まれる……!)」

 即座に術式を編み、自ら五感全てを封印する。
 平衡感覚すら勘で探り、高速で動き続ける事で出来る限り攻撃を避ける。

「(……お兄ちゃんなら、他の皆なら、どうする……?)

 既に切り札である対策は使った。
 後何度か同じ事を出来るとしても、その内完全に“狂気”に呑まれてしまうだろう。

「(……今ここで、この状況を打破する手段を……!)」

 逆転の一手を必死に考える。
 しかし、一向にそれは浮かばない。

「(……ダメ。やっぱり、私と“狂気”は切っても切れない関係―――)」

 極彩色の極光が直撃し、またもや“狂気”が思考を蝕む。
 直前まで考えていた事も、そのダメージで途切れてしまった。

「(……なら、敢えて切らずに受け入れれば……?)」

 思い出したのは、無我の境地に至った事で導王流を極めた優輝の姿。
 自らと言う訳ではないが、あれも半分気絶したがために至った。
 同じように、“狂気”を受け入れてしまえばいいと思ったのだ。

「(……そうだ。もう、私は狂気を乗り越えたんだ。その“意志”があれば……!)」

 一歩、脚を踏み出す。
 その脚が触れた場所から、水面に波紋が広がる。
 血の色に染まっていた水面は、再び鏡のような水面へと戻っていく。
 否、厳密には血のような赤色のまま、鏡のように透き通った水面へとなっていた。

縺ェ縺ォ(なに)?」

「鏡の如く、透き通れ……我が心……!」

   ―――“狂花水月(きょうかすいげつ)

 緋雪の瞳が煌々と紅く光る。
 その光は、かつて狂気に呑まれた時と同じだ。
 だが、当時のように淀んだ光ではない。
 どこまでも透き通ったような、そんな綺麗な光だ。

「………!」

 跳躍し、吹き飛ばされた後地面に刺さっていたシャルを引き抜く。
 直後、再び光の刀身と赤と青の螺旋が伸びる。

豁サ縺ォ縺槭%縺ェ縺?′(死にぞこないが)!」

「ふッ!!」

 放たれた極光と触手が、細きれになる。
 荒々しくも繊細な太刀筋で、緋雪が斬り刻んだのだ。

「ッッ!」

 さらに、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ