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レーヴァティン
第百八十九話 流れは次第にその五

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「ちょっとね」
「そうするとあからさまに怪しまれるからな」
「だからそうした者は送らないしね」
「取らないな」
「うん」
 そうするというのだ。
「あくまで誰がやったかわからない」
「そうしていくな」
「そういうことでね」
 淳二は久志に言った。
「やっていくから」
「ああ、じゃあ褒章はな」
「どうするかだね」
「もう任務に参加する奴全員にな」
 参加するその時点でというのだ。
「報酬渡すな」
「その分だね」
「ああ、それで昇進もな」
 これもというのだ。
「させるな」
「一階級だね」
「それだけのものがあるからな」
 この任務はというのだ。
「そういうことでな」
「うん、じゃあそれでね」
「宜しく頼むな」
「それじゃあね」
 淳二は久志に明るく応えた、そしてだった。
 彼はその夜に盗賊や忍者といった隠密行動を得意とする職業の者の中でも腕利きでかつ人間としても信頼出来る者を選んでだった。
 彼等と共にモスクワの街に入った、すると。
 城壁に出ているオプリーチニクの者達が見る見るうちに減っていき。
 十日もすると黒い服の者達は誰もいなくなった、久志はそれを見て言った。
「よし、これでだ」
「街にですね」
「ああ、使者を送ってな」 
 こう夕子に話した。
「そしてな」
「そのうえで、ですね」
「降る様に勧めるぜ」
「邪魔者はいなくなりましたので」
「命も身分も財産も保証する」
「そのことを約束してな」
 そしてというのだ。
「降ってもらうな」
「帝国に入ってもらうということで」
「そうするな」
「それでは」 
 夕子も笑顔で応えた。
「その様に」
「ああ、するな」
 久志はここからすぐに使者を送った、すると領主は一も二もなく帝国に入る即ち降ると言ってだった。
 モスクワは帝国に降った、久志は入城しモスクワの象徴とも言える赤い宮殿に入ると仲間達に言った。
「やっぱり邪魔者がいないとな」
「その分ですね」
「話が進むな」
 夕子に対して述べた。
「それだけ楽に」
「まことに。それで暗殺した彼等は」
「ああ、復活させてな」
 そのうえでというのだ。
「刑務所に送ってな」
「服役してもらいますね」
「圧政の実行者としての責任があるからな」
「主に殺人ですね」
「戦の時でも一般市民を殺せば罪ってのはな」
 久志は夕子にこのことは、と述べた。
「それはな」
「帝国の法では罪になるので」
「だからな」
 それでというのだ。
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