第三章
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「退院してからは」
「ではお願いします、この子も助かります」
「それでは」
叔母は獣医に笑顔で応えた、そうして診察代を払ってだった。
家に戻った、叔母はその途中車を運転しながら助手席にいる真紀に言った。
「実は私もうちの人も猫苦手なのよ」
「じゃあ何で飼うって言ったんだよ」
「さもないとあの子野良のままでしょ」
叔母は真紀に運転しているので前を見ながら微笑んで話した。
「野良で身体が小さい子だから」
「だからか」
「きっといじめられていて食べものもあまり手に入れられていなくてね」
「怪我して栄養失調だったんだな」
「だから野良のままだったら」
それならというのだ。
「長く生きられないわよ」
「それでか」
「飼うことにしたの。それで私もうちの人も猫は苦手だから」
微笑んだまま言うのだった。
「真紀ちゃんが世話してくれたらね」
「それじゃあ」
「また言うけれどうち来る?」
真紀に問うた。
「そうする?」
「本当にそうしていいんだな」
「ええ、真紀ちゃんさえよかったらね」
「それでお袋とはか」
「もう縁を切って」
そうしてというのだ。
「離れたらいいわ」
「どっちみち私のことなんてどうでもいいしか」
「そう、あんなのは親じゃないから」
真紀を産んだがというのだ。
「だからね」
「それでか」
「うちに来てね」
「そうだな、もうあんな家にいてもいいことないしな」
子供の頃からいい思い出はない、それも一切。
「それじゃあな」
「ええ、うちに来てね」
「そうするよ」
真紀は小さく頷いて答えた、そうしてだった。
真紀は叔母夫婦の家に入り二人の養子となった、実の母親とは縁を切ったが母親はどうでもいいという風だった。
そして猫も退院して引き取られたが。
猫は雄で真紀がレオンと名付けた、レオンは真紀によく懐いたが。
叔母はそのレオンをリビングで見ながら学校から帰って来た真紀に言った。
「最近あんたの学校話題になってるわね」
「ああ、先生の間でのいじめでな」
「それがインターネットで拡散されて」
「今もう大騒ぎなんだよ」
叔母に答えた。
「実際に」
「大変ね」
「いじめしていた先公が全員私にあれこれ言ってた連中だったんだよ」
真紀はリビングのソファーに座りながら叔母に話した。
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