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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
魔法絶唱しないフォギア無印編
魔法使いの帰省・透の場合
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の周囲の様子も少しだが様変わりしていた。その事に時の経過を実感し、少し寂しさを感じつつそれでも帰ってきた事に胸が熱くなるのを感じた。
暫く実家と周囲の景色を堪能し、透は意を決して門にあるインターホンを押そうとした。鍵があればそれを使って家に入れるのだが、家の鍵などとっくの昔に紛失している。家に入るにはインターホンを押すしかない。
しかしそれをクリスが止めた。何故と透が彼女を見ると、彼女は自分にまず行かせてほしいと言ってきた。
「頼む。最初は、あたしから行かせてくれ。航おじさんに謝りたいんだ」
それと透に、少しの間何があっても姿を見せないでくれと頼むとクリスは一瞬躊躇してからインターホンを押した。透はそれを見て少し悩む仕草を見せ、クリスの意を酌んで門の中から死角になる場所まで下がった。
『はい、北上です』
クリスがインターホンを押して少ししてから、マイクを通じて透の父である航が応答してきた。心なしか、透の記憶よりも声に覇気が足りない気がする。愛する一人息子の身に起きた不幸は、彼の心に大きな傷を残したのだ。
本当なら今すぐにでも言葉を交わしたいが、今の彼からは声が奪われている。どちらにしろ、まず最初はクリスに声を掛けてもらって航に出てきてもらわなければ。
「お、お久しぶりです。あたし……クリスです。雪音、クリス……」
『雪音……クリス────!?』
インターホンからの応答に答えたクリスの言葉に、航の声色が明らかに変わった。インターホンの向こうからは航が慌てて家の中を駆ける音が外にも聞こえてくる。
程なくして航が出てきた。扉を蹴飛ばす勢いで出てきた航は真っ直ぐクリスの前に立った。その表情は、怒りや色々な感情が混ざり合って言葉では表現しづらいものとなっている。
しかし、クリスの前に立った航は何も言わない。てっきり怒鳴られたり、門前払いとばかりに水をかけられたりするかと思っていただけに、拍子抜けとは言わないが意外過ぎて何も言えなくなってしまう。
暫く互いに見つめ合っていたが、先に口を開いたのは航の方だった。
「…………正直、ここに来るまでは君に文句の一つも言おうと思っていた。君ら一家について行ったが為に透は……。だがそれを決めたのは透自身で、止めなかったのは私だ。それに君も立派な被害者、その君に石を投げるような真似は出来ない」
航は門の格子越しに手を出し、クリスの頭をゆっくりと撫でた。
「よく……生きて帰ってきた。ご両親の事は、大変だったな。出来れば透も一緒だと──」
門の内側に居る航からは透の姿が見えていない。だから彼は、クリスだけが生きて戻ってきたと勘違いしていた。
クリスはそれを即座に訂正させる。
「居ます」
「何?」
「透は、生きてます
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