第九話―雲の影
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もはやお手上げの銀角に対して,少しは考えようとする金角である。
「いや……さっきアイツが二回目に現れた場所,最初にいた場所と同じだろ。移動できる場所には何かしら制限はあるはずだ。」
「それはさっきオレ達がそこにいたから……背後を取るために戻っただけじゃねえのかよ?」
「とにかく……何の制限も無しに雷影のヤローより速く動けるなんざ受け入れられるか!」
考え無しに暴れ回っていた昔に比べ,金角はかなり理性的にものを考えられるようになっていた。圧倒的な力で自分たちをねじ伏せて自由を奪い去った雷影……あれより上が居てたまるかと,彼は半ば自分に言い聞かせるように言う。
「あのヤローにはいつか復讐して目にもの見せてやんだ!今ここであんな奴なんかに負けてられるか!」
「そういやよ,金角……アイツさっき,消える前に地面に手当ててたよな?」
その何気ない言葉を聞いて,金角は何と無しに扉間の足元を見る。
「あん……?なんだありゃ……?」
そこには,変わった模様が小さく刻まれている。先ほど扉間が手を当てていた場所も,確かあの辺りだったと金角は思い返す。
「術式……?そうか……それだぜ,銀角……!」
そうしている間にも,扉間は次の策を練る。
(こやつらの回復力を考えると持久戦は不利……早めに片付けなければジリ貧になる。多少周りが荒れるが止むを得ん,アレを使うか……。)
そこまで考えた時,再び金銀兄弟が扉間に向かって突っ込む。
「今度こそくたばれ!!」
先ほどは二人ほぼ同時であったが,今回は銀角の方が少しばかり前に出ているようだ。
(来たか……。どうにかして奴らの不意を突きつつ接近するスキを作る……!)
バッ!
先行した銀角がまず扉間に向かって剣を振り上げる。やはり扉間は先ほどと同様に構えるそぶりを見せない。ただ一つ,異なるのは……
(やっぱり今度は地面に手を当てねえ!もう必要ねえからな!)
金角は自らの予想が的中したと確信し,銀角の後ろで走るのをやめてブレーキを掛ける。
「そのまま行け,銀角!!」
「おうよ金角!!」
(もう一人が来ん……まさか……!?)
気づいたものの時すでに遅く,ギリギリまで引き付けた銀角の攻撃をかわすためには,扉間はもう一方のマーキングへ飛ぶほかない。
フッ!
扉間が飛んだ先,そこは先ほど一回目に飛んで水断波を放った場所と同じである。そしてそこには……
「!!」
「よぉ,待ってたぜ?ここにも……同じ模様が刻んであるなぁ?」
目の前に剣を振りかぶる金角の姿があった。扉間の出現を完全に読んでいた彼は,銀角だけに攻撃に行かせて自らはこちらへ先回りしていたのだ。
(向こうのマーキングにも
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