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おぢばにおかえり
第六十二話 二人乗りその十六

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「少しですが」
「前はなかったのよね」
「はい、全然」
「そう考えたらましになったわね」
「いいことですよね」
「そうね、けれど思うだけじゃなくてね」
 おみちはそれだけでは完全ではないとよく言われます、そこからちゃんと動いてこそというのです。
「ちゃんとなおしていってね」
「そうしていきますね」
「絶対にね、しかしね」 
 私は阿波野君にさらに言いました。
「阿波野君ってクラスでもそんなによね」
「浮いてないっていうんですね」
「そのこと聞いたわ」
 東寮のこの子の同じクラスの子からです。
「特に」
「有り難いことに」
「そうした癖処分出さないからなのね」
「嫌いな相手以外には何もしないですから」
「それは当然のことにしても」
 それでも思うことでした。
「阿波野君の嫌い方は本当に徹底してるみたいだから」
「努力してですね」
「なおしてね、ただその娘が言うには」
 阿波野君にさらにお話しました。
「阿波野君クラスで結構雑誌読んでるのよね」
「サンデーとかですね」
「漫画雑誌とかあと野球の」
「週刊ベースボールですね」
「確かソフトバンクファンよね」
 前に阿波野君自身から聞いたことを思い出しました。
「そうよね」
「はい、僕鷹党です」
「そうだったわね」
「いや、ダルビッシュさんに苦しめられています」
 私に笑って言ってきました。
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