第十幕その一
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第十幕 黄金の羊
もうすぐ黄金の毛の羊がいる場所に辿り着くというところで、でした。一行は休みました。もう夜なのでそうしました。
「あと少しでもね」
「夜になればですね」
「夜に歩くのは足元が危ないから」
グリンダは恵梨香にお話しました。
「だからね」
「ここは焦らないで、ですね」
「そう、羊はその場所にずっといるそうだし」
それならというのです。
「もうね」
「落ち着いてですね」
「そのうえでね」
そうしてというのです。
「今日は休みましょう」
「晩ご飯を食べて」
「そしてね」
そのうえでというのです。
「近くのお池で身体も洗って」
「歯を磨いてですね」
「寝ましょう」
「そうしますね」
「ゆっくりとね、そして明日ね」
「黄金の羊のところにですね」
「行きましょう」
こう言うのでした。
「是非ね」
「わかりました」
「そしてね」
「そして?」
「今日の晩ご飯はね」
グリンダはそちらのお話をしました、もう道の横にテントを出してテーブル掛けを囲んで座っています。
「お寿司がいいかしら」
「お寿司ですか」
「今回の旅は日本にまつわることが多いでしょ」
「だからですか」
「今夜のお料理も」
それもというのです。
「日本のものがいいかしらと思ってなの」
「お寿司ですか」
「どうかしら」
「いいですね」
恵梨香はグリンダに笑顔で答えました。
「私お寿司大好きですし」
「僕もです」
「僕も好きです」
「お寿司にしましょう」
「異議なしです」
ジョージ達四人も言います、そして。
モジャボロも弟さんもこう言いました。
「いいね、お寿司なんて」
「素敵なご馳走だよね」
「それじゃあね」
「今夜はお寿司にしよう」
「僕達は構わないよ」
木挽きの馬はこう言いました。
「別にね」
「私もよ、食べる必要はないから」
ガラスの猫も言います。
「だからね」
「好きなもの食べたらいいよ」
「皆が好きなものをね」
「それじゃあ決まりね、今から出すわね」
グリンダも笑顔で頷いてでした。
お寿司を出しました、鮪にハマチ、鮭に鰯に秋刀魚にコハダ、鰻に穴子、海胆にイクラに数の子にです。海老や鳥貝、赤貝に貝柱もあって。
他にはトロやカジキ、アワビもあります。かなり豪華です。
その中の納豆巻きを見て木挽きの馬は言いました。
「僕は何も食べないけれど」
「どうしたの?」
恵梨香は河童巻きを食べつつ言いました、他には玉子もあります。
「一体」
「いや、納豆ってね」
「その食べものがっていうの」
「最初見て驚いたよ」
こう恵梨香に言うのでした。
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