暁 〜小説投稿サイト〜
同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
閉会〜金帰火来には遠すぎる〜
船団の国〜アスターテ連邦共和国〜(下)
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が必要だがシトレはまだ再任して次の議長選で下院議員の座を狙いたいはずだ。であれば――サンフォードとトリューニヒトと分かち合うつもりだろう。
であれば地上軍と情報部門辺りが手柄を欲しがるはずだ。そして正規艦隊(レギュラーフリーツ)のシトレ派だな」

 グーヴィヌはふむん、と顎をさすりながら訪ねる。
「……つまり何が狙いです?」

「俺が知るか。そもそもこれも予断としての仮説で何一つ確証はない」
 参考のひとつでしかない、とタカ派国家元首はばっさり切り捨てた。
「意図の推測は補強でしかなく、それ自体が断定の根拠になることはない。断言するのはハイネセンポリスで動き回った後のリヴォフ老の仕事だ。
だがわれわれが懸念する点はいくつかある、まず一つはロボスはアルレスハイム出身でグリーンヒルはエル・ファシルと縁がある。彼らが排除されるのは断固として阻止せねばならない。
もう一つは――シトレは自由党派でトリューニヒトが国民共和党の軍官派であることだ」
 グラス総裁の目に強い光が閃いた。
「連中が強くなりすぎるのは【アスターテ】にとって不利益だ」
 【バーラト・エリート】ばかりがそのまま中枢に居座り多数派を取り仕切る――【交戦星域】の人間にとり、それは時に死活問題である。

 はいはい、とリヴォフは肩を落とす。
「それじゃあ俺の仕事はフェザーン企業の動きと戦略物資の密貿易の調査。
そして第七次イゼルローン攻略戦について、か」

 グラス総裁は鼻で笑った。
「特命の話だ。他は当然貴様の支持者からも陳情が上がっているだろうし、それに次の会期で全ての議題からアスターテに利益を齎す様に努力するのも忘れるな」

「けっ!!また人使いが荒いぜ!!」

 あぁそうだ、とフリシエがリヴォフに目を向けた。
「それと‥‥‥3期目はどうするつもりだ。急進人民党も自由連盟も気にしているぞ」
 自由連盟は半ばヘゲモニーになりつつあるアスターテ連邦最大野党である。要するに同盟議会政党である自由党の構成政党なのだがアスターテ宇宙港公社の外地を中心に活動する国民共和党支持層の穏健派なども吸収しアスターテ政界の穏健派として存在感を示している
 急進人民党は労農連帯党左派系の星津であり船団コミューンのうちいくつかを岩盤基盤として『接舷せよ、アスターテ』と総裁の強固な権限に反対している――同盟弁務官としてリヴォフを選出する過程では彼の基盤の一つでもあるが。

「それでも勝とうと思えば貴方は勝てる。フレシネ首相も同意見だ」
 フレシネは無言で首肯した。

 3選は――健康上の問題がでなければけして無理ではないだろう。
 だが彼はイゼルローン要塞が完成した時には既に40過ぎ、2年後の3期目を終えた時には――80を超えている。
 本来なら潮時――だろ
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