暁 〜小説投稿サイト〜
同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
閉会〜金帰火来には遠すぎる〜
船団の国〜アスターテ連邦共和国〜(下)
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和国のダレイオス開発グループ‥‥‥なるほど、とリヴォフは内心頭を抱える。
 どれもこれも構成邦のみならず、エネルギーやら地方社会開発やら同盟政府の行政にまで食い込んでいる。
 情報部門のみならず民政官僚に利権を抱える同じ交戦星域やその近隣の構成邦の懐に手を突っ込むのはーー
「面倒だな、これは」

 無理難題だ、とフリシエが片眉を上げていった
「その為にリヴォフさんに来ていただいたのです、この時間にね」

 解決を言明するわけではない、とグラス総裁は肩をすくめる。
「無理をして孤立する必要もないが同盟政府に遠慮する必要はない、私はアスターテ連邦の代表だ。私の指導の下で行われるあらゆる行為が齎す利得はアスターテ市民に還元されるべきである。アスターテ市民とは同盟市民である以上、これは同盟政府への忠誠でもある」

 リヴォフは苦笑する
「相変わらずだなお前さんは」
 グラス総裁の政治スタンスを一言で表すのであれば国民国家主義者(ナショナリスト)――である。
 であれば反バーラトかというとけしてそうではない。ある意味では彼は同盟軍人としての軍事的合理性を【交戦星域】の複雑な感情論と合一させているからこそ、大船団総裁の座を得ているのである。

「首都圏だろうがフェザーン航路だろうが、【交戦星域】だろうが、我々は平等だ、その事実を現実に適合されるのが貴方の役目だ」

 リヴォフは戯けて両の掌を向ける
「おいおいおい、勘弁してくれ!老骨にむちうってるんだぜ!これでも不足かよ」

「不足だとも、戦場であろうと娑婆であろうと部下の数が増えれば増えるほど、常に上役の仕事は不足するものだ」
 つまり私も不足しているとも、とグラスはニヤリと笑った。
「つまり我々は就任してからこれまでに至り何から何まで問題しかないということだ。そして新しい問題が出てきた――例のヴァンフリート演説はどうみる」

 リヴォフは内心舌打ちをする、これに今かかわるべきではない、と兵站屋と国防畑の政治家の経験が告げているのだ。
「先日伝えた通り、情報部門が関わってるのは間違いない、であれば予断は禁物、今は静観だ」
 
「相手の罠に嵌らない限り予断は有効だ、見当をつけて調べなくては同に盛らなんだろう」

 そうかい、とリヴォフは自身の元首をじろり、と見る。
「総裁はどう見立ててるのかおしえてもらいてぇなぁ」

 グラス総裁はそうさなぁ、と怯むことなく体をゆする、
「まずこれだけは私が断言できるのは、グリーンヒル”総参謀長”が演説していることそのものが囮だ」

「ほう」

「内実は老の言う通りだろう、シトレが主導し、ドーソンが実務を仕切っているのであればロボスは前線から排除されているはずだ。統合参謀本部長の椅子を得るには何かしらの成果
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