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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
閉会〜金帰火来には遠すぎる〜
船団の国〜アスターテ連邦共和国〜(下)
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失われた30年”の世代を埋めるかの如く運輸業を侵食している。
グースヴィヌが机の上からレジュメの束をリヴォフに差し出した。
「こちらを、運輸企業全体で減収が続いています、叩き合いも同然で経済全体が低調になりつつある」
リヴォフは眉をひそめた。フェザーン、運輸とくると悪い話しか思い浮かばない。
「それでフェザーンか。だがこの地域に融資はともかく、現場に出張りたがる輩がいるか?」
幾らなんでも、というのがリヴォフの心境である。アスターテが流通のかなめとして本土を失陥した後も経済的権益を死守できたのはパランティアを筆頭とする【交戦星域】諸国の企業との付き合いのみならずフェザーン商人が危険を恐れて寄り付かないからである。
「‥‥‥同感だ、だからこそ
性質
(
たち
)
が悪い」
フレシネがぼそり、と呟く
「おいおいおい、まさかオーディンの統帥本部がらみじゃないだろうな」
フェザーンは魔都だ。両国が高等弁務官を置いて事実上の窓口となるのであれば当然、情報部門も動き回っている。帝国も同盟も金融企業を噛ませ、双方の経済事情を探り、隙あらば経済的混乱を引き起こそうとしている。更に政治・経済的陰謀の果ての帝国・同盟文民(当然犯罪者も)の亡命や、麻薬も取り扱う複数の犯罪シンジゲートも動いている。更に当然ながら同盟を帝国を悩ませる為に双方の情報機関がそれを支援し――最早、自治領主を含め誰にも把握できていないのではないだろうか?地球教徒ですら陰謀論の対象になっているし、少なからず間違ってはいない――世論操作の為に双方の情報機関が入り込んで拡大したのだから。
「そうだ、小売り用の衣服や食料品やら嗜好品、果ては資源開発に口を突っ込み始めた。工業資源まで、そう、重水素に、高純度レアメタル、そして宇宙空間施工用液体金属まで」
「‥‥‥おいまて、それはあちらの情報部門がかかわっていると?」
兵站屋としてイゼルローン要塞の分析に携わった時の記憶が蘇る。
「リヴォフ老、私は巡航艦乗り上がりだ。フェザーンを取り巻く魑魅魍魎に関わりたいとも思わん。だがそれが国家の存亡にかかわるのであれば否やもない」
「この問題は、非常に微妙な問題だ」
フレシネはため息をつく。
「企業自体はフェザーンの資本であるが幾つかの企業を経由している、戦略物資は正統な認可を受けてあちらこちらに運ばれている――その全容は我々にも把握できていない」
グーヴィヌたちに手落ちがあるわけではないぞ、と首相の言葉にグーヴィヌは肩をすくめる。
「えぇ中央への調査は難しいです、バーラト系の企業連が関わってくると同盟諸政府の管轄になりますので。そういった諸々の問題が絡みますと私の一存では何とも」
デルメル平和共和国のオリュンポス・カンパニー、ムサンダム憲政共
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