第一章
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飼い猫になった野良猫
結城実花はこの時夫の茂吉にこう言った。
「メリーだけれどね」
「ああ、この前うちに来ている娘だな」
夫はすぐにわかった、二人共もう定年をとっくに昔に迎えていて悠々自適の生活である。夫は七十歳で妻は六十七歳で二人共髪の毛は白くなっていて顔も皺だらけで身体の動きも若い頃とは違っている。夫は細面で眼鏡をかけて髪の毛はなくなっていて妻は白髪で穏やかな顔である。
「あの娘だな」
「もう毎日うちに来てるからね」
「うちの娘みたいになってるな」
「名前も付けてね、だからね」
それでというのだ。
「うちの娘にしない？」
「うちで飼うか」
「ええ、そうしない？」
夫にこう提案した。
「これからは」
「いいな」
夫は妻の提案に笑顔で応えた。
「それじゃあな」
「ええ、これからはね」
「あの娘もわし等の子供だな」
「そうしましょう、今もお庭にいるしね」
今二人がいる居間の窓から庭を見るとその端に一匹の猫がいた、茶色の毛で顔の口と鼻の周りそれに足首が白く尻尾は白い茶色の縞模様がある。その猫を見て言うのだった。
「あの娘をこれからはね」
「うちの娘にして」
「飼いましょう」
「うちの庭に何時の間にかいついてな」
「それでご飯をあげてね」
「そしてうちにも入るし毎日庭で寝ている」
「それじゃあね」
そこまでになっているならというのだ。
「これからはね」
「あの娘はうちの娘だな」
「そうしましょう」
二人で話してだ、メリーと妻が名付けた猫をだった。
家に迎え入れて飼い猫にした、早速首輪を付けたが。
二人の娘であり今は結婚して家庭を持っている佐藤史奈、母親によく似た顔の中年の女性で茶色の髪の毛を長く伸ばしている彼女は二人の家に夫と息子を連れた時に母の膝の上にいるメリーを見て言った。
「その娘庭にいた娘よね」
「もうずっとうちにいるしね」
「飼う様にしたの」
「そうしたの」
「そうなのね」
「ええ、ただね」
母は娘に微笑んで話した。
「私もお父さんもね」
「歳だから？」
「だから何かあった時はね」
二人にというのだ。
「この娘を頼めるかしら」
「病院に診せたら一歳位らしいんだ」
父も言ってきた。
「わしも七十、母さんも六十七歳でな」
「まだ若いでしょ」
「いや、七十はもう歳だろ」
こう娘に言うのだった。
「だからな」
「それでっていうの」
「わしと母さんに何かあったら」
「その時はなのね」
「メリーを頼めるか」
こう言うのだった。
「そうしてくれるか」
「ええ、私も主人も生きもの好きだしね」
「任せて下さい」
史奈の隣にいる小さな穏やかな目で面長の顔で髭の剃り跡が青々としている長身で
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