第106話 難楼討伐 後編
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もっと、泥沼に嵌るだろうが・・・・・・」
冥琳の提案に私は更に狼狽しました。
「そうは成りませぬ。寵姫を数人選び、お側に置くことで、後の女達は正宗様のお目に届かなかったとして、正宗様の屋敷にて軟禁するればよろしいと存じます。既婚者の女に関しては折を見て、夫の元に返せばよろしいでしょう」
「正宗様の夜のお供を手に入れた上、経済的ですね。ただ、既婚者の女の放免にしても夫はその女のことを受け入れることができるでしょうか?」
風は冥琳に質問をしました。
「そんなことなど知らぬ。夫と子供のいる女など面倒なことになるだけだ。さっさと叩き出すに限る。他の女達も追々放免すればいい」
冥琳は風の考えに冷たく言い放った。
その後、冥琳はモジモジと自分の手の指を弄り出した。
「正宗様、この私を側室にしてくださいませんか?」
いきなり冥琳は私に爆弾発言をしました。
「私は正宗様をお慕いしております。正宗様が身持ちがお固いと思っており遠慮しておりました。ですが、今度のことでその考えを改めました。是非、この冥琳を側室にしてください」
「え?」
私は素っ頓狂な声を上げました。
「正宗様、幾ら演技とはいえ、女を差し出せと申されるならば、それは麗羽殿や揚羽殿以外の女性を欲したということではございませんか?」
「そ、そんな訳あるか! 俺は妻達一筋だ」
冥琳の話を顔を全力で左右に振り否定しました。
「私はお嫌いでしょうか。私の実家は麗羽殿の実家である袁家より劣りますが、二世三公の家柄でございます。正宗様の側室になるのに支障はないと存じます」
冥琳は真剣な表情で私に詰め寄って来ました。
「冥琳、顔が近いぞ・・・・・・。少し落ち着こう」
「やはり、私のことがお嫌いなのですね」
冥琳は私を悲痛に満ちた表情で見つめると、目を反らし俯きました。
美人の悲しい表情を見ると罪悪感がひしひしと私の胸を突き刺します。
「兄ちゃん、はっきりしろよ。美人がお前さんに勇気を持って告白しているんだ。ここは妾と側室貰って、酒池肉林の日々を楽しもうぜ」
宝慧が私に下ネタを交え、説教をしてきました。
「冥琳、私はお前のことは好きだぞ。本当に妻になってくれれば、男として嬉しいと思う。しかし、私には麗羽と揚羽がいる。それに、私はそれ程甲斐性がある人間じゃない。等しく愛してやる自身がない」
この世界は一夫多妻制なので、王ならば7〜8人位側室を持つことは自然なことだと思います。
実際はもっと多いでしょうけどね。
でも、私はあんまり甲斐性があると思えないです。
「等しく愛せると断言できる男を信用する女などいません」
気づくと瞳に涙を讃えた冥琳が俺の手を握ってきました
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