第三章
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「変わったわね」
「そうだな」
「だってね」
幸恵は自分の両親に苦笑いで答えた。
「あんなに懐かれたら」
「それでか」
「情が移ってなの」
「それでね」
その為にというのだ。
「私もうちの人もね」
「ついか」
「今みたいになのね」
「世話をね」
それをというのだ。
「する様になったのよ」
「いい子だからか、ポチが」
「それでなのね」
「ええ、あの子性格凄くいいわよね」
彼のそちらのことも話した。
「そうでしょ」
「あんないい子はいないぞ」
このことは祖父、幸恵の父が言い切った。
「本当にな」
「そうよね」
「絶対に吠えたり噛んだりしないだろ」
「それで人懐っこくてね」
「大人しいな」
「しかも優しいし」
幸恵は微笑んで自分から話した。
「それで愛嬌もあってね」
「穏やかでな」
「本当にいい子よ」
「お散歩の時も私達に合わせて動いてくれるからね」
祖母、幸恵から見て母にあたる彼女も言った。
「元気がいいけれど」
「引っ張って行ったりしないわね」
「年寄りにも気を使って進んでくれるね」
「人が来たらちゃんと吠えて知らせてくれて」
「駄目って言ったことはしないわね」
「絶対にね、頭もいいから」
このこともあってとだ、幸恵は話した。
「私もうちの人もね」
「ポチが好きになったんだね」
「そうなったわ」
本当にというのだ。
「私達もね」
「それで今はか」
「あんたも夏樹さんもポチを可愛がってるのね」
「そうしてるわ、犬嫌いの私達にそうさせるなんて」
世話をさせるとは、というのだ。
「ポチは凄い子ね」
「ああ、それだけいい子ってことだな」
「そういうことになるね」
「そうね、それで犬もそれぞねね」
幸恵はここでこうも言った。
「性格があるのね」
「それは人間と同じだからな」
「それぞれに性格があるのよ」
「だから性格がいい子もいてな」
「そうでない子もいるのよ」
「そうよね」
幸恵は娘として二人の言葉に頷いた、そうしてだった。
彼女はこの日は夫と一緒にポチの散歩に出た、ポチは澄んだ目で尻尾を横にぱたぱたと振ってそうして二人と一緒に散歩に出た。するとだった。
二人は笑顔で散歩を行った、家に帰ると彼にご飯をあげて待っていた娘と祖父母に笑顔で帰ったと挨拶をした、もうそこには犬嫌いの顔は何処にもなかった。
嫌っていた両親も 完
２０２１・１・１９
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